「爛漫」の説明

この絵は、本学の前身、奈良女子高等師範学校を大正6年(1917年)ご卒業、 文化勲章を受賞され、また、 日本芸術院会員である小倉遊亀先生が、 母校の講堂の新築を祝っておかき下さった緞帳の原画です。先生はそのと き、制作された意図について、次の小文をお寄せ下さいました。
ごらんのような構図です。これは大学の5階から見た若草山の山並をバックに、 大きな古い桜の樹が、今や満開に咲きほこった光景を描きました。左の上手に は東大寺の金の鴟尾の大屋根が、右下手の花にはすれすれに、興福寺の五重塔 の一部分がチラと見えているのは、奈良を表したもので、画面一ぱいに咲きほ こる桜の花には一点の不純さもなく香気ふくいくと両手をひろげて、己の力の すべてを出しています。

若い皆様の思い思いの方向に進んでゆかれようとするお姿ではないかと思います。 一杯の --- 満身の力を出し切ってする仕事ほど美しいものはありません。

皆様の前途を祝福して「爛漫」という題にさせて頂きました。