産◇の尊慰貝姫蛤貝姫に教て天降しめ慰貝姫は岐佐宜を つくり蛤貝姫は真井の水を持来てぬりやはらけ給へば麗壮吏神大巳貴の と 命なり 成て素戔鳴の尊の御許に行て御女須勢理姫を妻とし給ふ◇貝 姫の作給ふ岐佐宜といふは今の天児のこと也旧事記古事記日本紀 にも一児と書て一木と訓り神宮にて藁に着する服をききと いふも岐佐宜の中略の詞也婚姻の時貝桶とひとしく天児を先 立るも◇貝姫蛤貝姫を寿きて妨をなす悪神をはらひしづむる 理也貝合は◇貝姫蛤貝姫大巳貴の命の難を救ひまいらせ須勢 理姫と婚姻をなし給ひしより◇貝姫蛤貝姫の名をよせて貝 合をするの起り也人の世となりては景行天皇五十三年十月に 東国へ幸有て上総国より常陸国鹿島へ渡り給ふとき大空 に◇賀鳥の鳴過る声を聞給ひ其鳥の形を見給んとて海中へ