|
外題：題箋に「桜町天皇宸翰三葉以下五十葉」と墨書 内題：なし 数量：一帖 寸法：縦41.0×横18.0cm（各短冊縦36.8×横6.0p） 装丁：折本 表紙：薄青布地流水文 料紙：鳥の子（短冊：打曇） 見返し：金砂子 丁数：全七丁（一面に短冊二枚、全五十枚） |
|
堂上歌人の詠んだ法楽和歌の短冊帖六帖のうちの一帖で、重要美術品。新しく折本に仕立てられている。 巻軸の短冊（祝言／三条西公福）の裏に「御奉納／延享元年八月廿八日［石見国／柿本社／御法楽］」とあり、延享元（1744）年八月二十八日に 奉納されたものであることが分かる。『続史愚抄』同日条にも「有柿本両社［播磨／石見］和哥御法楽。左衛門督［光綱卿］詠進」とある。 歌は春、夏、秋、冬、恋、雑の順に配置され、短冊の正式な書式に則った各作者の自筆短冊。ただしすべての短冊を通じて題は一筆である。 桜町天皇（1720―1750）の御製歌は巻頭歌「山早春／石見のやたかつの山のほのゞゝとかすみそめたる神がきのはる」を含む三首。この巻頭歌は、 『万葉集』所収の人麻呂作歌「石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか」（巻二・１３２）、および人麻呂神詠「ほのぼのと明石の浦の 朝霧に島隠れゆく舟をしぞ思ふ」（古今・４０９）を二首本歌取りしたものである。巻軸歌は「祝言／うごきなきたかつの山のよゝかけて神のまもらむ 道はたえせじ／公福」とあり、高角山に鎮座する高津柿本神社の神・人麻呂への寿ぎとなっている。他に家仁親王、職仁親王、一条兼香、近衛内前、 烏丸光栄等の名が見える。 参考文献：芦田耕一「柿本神社（益田市）蔵『堂上御奉納和歌』―紹介と翻刻―」『山陰地域研究（伝統文化）』第九号 1993年3月 解説：奈良女子大学大学院博士後期課程 大石真由香
|