高津柿本神社所蔵資料電子画像集
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仁孝天皇他奉納和歌五十首



外題:題箋に「仁孝天皇宸翰三葉以下五十葉」と墨書  内題:なし
数量:一帖  寸法:縦41.0×横18.0cm(各短冊縦36.2×横5.5p)
装丁:折本  表紙:薄萌黄布地花唐草文  料紙:鳥の子(短冊:打曇)
見返し:金砂子  丁数:全十三丁(一面に短冊二枚、全五十枚)
 堂上歌人の詠んだ法楽和歌の短冊帖六帖のうちの一帖で、重要美術品。新しく折本に仕立てられている。
 巻軸の短冊(祝言/飛鳥井雅光)の裏に「御奉納/天保十四年六月十一日[石見国/柿本社/御法楽]」とある。
 歌は春、夏、秋、冬、恋、雑の順に配置され、短冊の正式な書式に則った各作者の自筆短冊。ただしすべての短冊を通じて題は一筆である。 巻頭歌「早春/石見野や高津のみやにたつ霞めぐみの春のひかり見せつゝ」を始めとする「卯花」「恋衣」の巻頭三首が仁孝天皇(1800―1846) の御製。巻頭歌は、『万葉集』所収の人麻呂作歌「石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか」(巻二・132)を本歌取りしたもの である。巻頭三首に続き、春、夏、秋、冬、恋、雑の歌が順に配置され、四十七首が並ぶ。巻軸歌は「祝言/すなほなる道はいく千世さかへつゝあふぐ もたかきやまと言の葉/雅光」とある。和歌の道の栄えを寿ぐことによって、歌聖である人麻呂を讃えるものとなっている。他に韶仁親王、幟仁親王、 冷泉為則、近衛忠煕、鷹司政通等の名が見える。

参考文献:芦田耕一「柿本神社(益田市)蔵『堂上御奉納和歌』―紹介と翻刻―」『山陰地域研究(伝統文化)』第九号 1993年3月

解説:奈良女子大学大学院博士後期課程 大石真由香

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