毘沙門天王立像(将軍自在毘沙門天王)
朝護孫子寺所蔵
(奈良国立博物館寄託)
木造 彩色・截金
像高 18.0cm
鎌倉時代(13世紀)
寺伝では「将軍自在毘沙門天王」と称される像で、炎髪を立て、一面四臂の姿である。上半身に条帛と天衣をまとい、裙と腰布を着ける点は、通有の毘沙門天像とは異なる。ただし『別尊雑記』に同様の図像が掲載され、「是唐本也」「ヒサ門」との注記から毘沙門天像と確認できる。頭体幹部を一材で彫り、炎髪・四臂・天衣遊離部は別材を矧ぎ、二邪鬼も各別材製である。現状では左第二手肩以下の欠失や指先・持物・光背・岩座の後補が見られるが、『別尊雑記』によれば左第一手に宝塔、同第二手に弓、右第一手に宝棒、同第二手に矢を執る姿と推測される。弓矢を執る毘沙門天像は唐宋期中国に作例があり、本像の「唐本」による造形とも関連すると考えられる。
(参考|山口隆介解説、『信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝』奈良国立博物館、2016)

毘沙門天王立像(将軍自在毘沙門天王)