歓算上人像

朝護孫子寺所蔵
(奈良国立博物館寄託)

絹本著色
縦93.2cm×横38.3cm
室町時代(15世紀)

 歓算は、近世以降に編纂された信貴山伝来の諸史料に名が見え、寺伝では命蓮の弟子とされる。師の遷化後に法燈を継ぎ、修験道の行者として特に優れていたと伝わる。享保十七年(1732)に供養が行われた朝護孫子寺開山堂では、聖徳太子・弘法大師・命蓮と並んで祀られている。
 本図の歓算は、礼盤上に座して両手で数珠を爪繰る姿で描かれ、命蓮上人像の対幅として伝来する。法量もほぼ一致し、両像が向き合うように掛けられるが、歓算像は線描にやや堅さと平板さが認められる点から、同筆ではないと考えられている。また、制作時期については、歓算像の方が命蓮像よりもわずかに下る可能性が指摘されている。
 (参考|伊藤久美解説、『信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝』奈良国立博物館、2016)

歓算上人像

歓算上人像