見ふせりて ゆくほたる雲のうへまていぬべくは 後撰 秋かぜふくとかりにつげこせ (玄すみてよむひねもす詠れは也) くれがたき夏の日くらしながむれば そのことゝなくものぞかなしき 四十六 むかし男いとうるはしき友ありけり かたときさらずあひおもひけるを人 の国へいきけるをいとあはれとおもひ てわかれにけり。月日へてをこせ * あらす宵のほと涼む をいふへし惟玄同義 ゆくほたる惟後撰には秋の 部に入たり。雁を本にし たるにや。こゝは夏の歌也 宵の程は暑気甚しき やうなるが夜更て身に しむ風吹て仲秋の天の やうに覚る折常。蛍 高くとぶ也。蒹葭水暗蛍知夜楊柳風高雁送秋の体也とて雁をも催したて よといふ也一つげこせは告をこせといふ詞也。すでに秋風こそふけ雁につげをこせよと也 くれがたき夏の玄此歌は此夜よみたるとは見えず。忌にこもりてひるつかたなど読たる 歌なるべし。日くらしすみてよむ也。此うた其事となくといへるむ面白し。此女なれな じみたる事はなけれど我故になくなるといふ人の忌にこもれば何を名残にせんともなく 其などなく物がなしきと只世間の貫常によみたる心詞余情かきりなき歌也 うるはしき友師友善 と書てうるはしみとよ む。したしき業平の友也 人の国へ肖受領なとにや 玄他国也任におもむくに 一任四か年遠国は五か* (是より文のことにと也) たる文にあさましくたいめんせで月 (肖よみきるへし) 日のへにけること、わすれやし給ひに けんといたく思ひわびてなん侍る。世 (一久しく対面せぬ事也) の中の人の心は、めがるればわすれぬべき (ンあるなれといふ心也ン) 物にこそあめれといへりければよみてやる めがるともおもほえなくに忘らるゝ ときしなければおもかげにたつ 四十七 (一懇にいかてあはばやと思心也) むかしおとこねんごろにいかでと思ふ 女ありけり。されどこのおとこを あたなりときゝてつれなさのみ まさりつゝいへる おほぬさの引てあまたに成ぬれば 古今 * 年也。さやうの時の事 なるへし。只随意に他国 へ下るにはあるべからず。 月日へてをこせたる久 玄田舎よりをこせたる 文也毛詩にも一日不 見如三秋号といへり惟同 世の中の人の心はめがるれば 師文選古詩に去者日 疎注不見容皃故疎 也といへる心などにや めがるとも肖めかるとは 見る事のへだゝる儀也 祗忘るゝ時なければ常 に俤に立て目がる共 おぼしえぬよし也師此歌 はかのめがるれば忘れぬべ き物にこそといへる答也 おほぬさの引手あまた 奥儀抄清輔云大麻は 祓するに陰陽共の*