紅ゐに 好色のかたに少もとり合す、 きくの上をいふ也。 白菊の紅に匂ふは、 折人の袖もかくこそといふ也。 紅ゐに匂ふとは、 色のにほやかなるをいふ也。 十九 むかし、 男宮 宮仕しけるは、 染殿の后の事也。 こたちは、 染とのゝ后のかたにめしつかはるゝ也。 こたちなりける 後達〈白氏〉。 又、 御達。 漢書、 女は男の 後へに有ゆへに、 後達といふと云云。 なりひらは忠仁公 家礼也。 当代、 清和母后也。 かれにけりは、 業平也。 離の字也。 後漢書皇后記〈注〉曲礼云天子之妃曰后 〈注〉后之言後也。 執任内事在夫之後也云 おなし所なれは 同所にて不断参会すれは、 常に 見る也。 おもひたらす 思はぬ也。 為の字、 恋すへき也と也。 天雲の 成行かのかは、 哉也。 あま雲のよそとは、 虚空は遠き物なれは、 よそへて云ん為也。 さすか