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学術情報センター 画像DB 伊勢物語

添註伊勢物語俚言解

版本二冊。袋綴。27.0cm×19.2cm。墨付、上巻32丁、下巻42丁
花浅葱色布目紙表紙。刊記「明治十八年八月一日御届/同八月出版
/註釈人 (三重県平民)佐々木弘綱(東京神田区小川町一番地居住)
 /出版人 (東京府平民)柳瀬喜兵衛(日本橋区橘町四丁目十八番地居住)」
本 文  翻刻付

 本書は、歌人、国学者佐佐木弘綱(1828〜1891)が、清水浜臣(1776〜1824)著『伊勢物語添註』(成立年未詳)に、更に校注を施したものである。
 序によると、安政の頃(弘綱三十歳頃)に書き上げていたが、支障があって明治十八年(1885)に刊行したという。
 清水浜臣は村田春海門の国学者。浜臣の『添註』は、写本のみで伝わり、刊行はされていないようである。伊勢物語の本文の間に□(四角)で括って言葉を補い、通読の便を図ったもので、別に頭注欄を設けている。弘綱はこれに加えて、本文の要所要所に俚言(俗に用いられる語)に和らげた句を傍書し、さらに読み易くして『俚言解』とした。
 ただし、40段で、『添註』の本文を退け、『新釈』によって塗籠本の和歌を採用したり、頭注に自説を施すなど、校訂や注に改変の後がみられる。
 本書は、古注旧注からの離脱を図った『新釈』や、わかりやすさを配慮した『添註』『伊勢物語箋』(橘守部著)の流れを承けるものであり、現在の口語訳付注釈は、この延長線上にあるといえよう。
 なお、巻末に「佐々木弘綱著述目録」が付載されており、その中に『竹取物語俚言解』ほか十一種の「俚言解」を称する書名が挙げられている。
(解説は文学部言語文化学科日本アジア言語文化学研究室のご協力を得ました)