奈良女子大学学術情報センター
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女鏡秘傳書

 

翻刻文あり
  (翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア  
   言語文化講座学生相川純子さんの協力を得ました。)  

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本  文


解 説

 題簽「新版女鑑秘伝書 上、中、下」、3巻3冊合本。上26丁、中24丁、下24丁。著者未詳。刊記 慶安5(1652 )年正月吉日、山本長兵衛開版。
 山本長兵衛(弘章堂、金屋)は京都二条通りの書肆、『 徳川時代出版者出版物集覧』(矢島玄亮、万葉堂書店、1976)によれば出版物は多岐多 種にわたる。他、慶安3(1650)年、野田弥兵衛(京都)版(題簽『を無なかゝ見』) 、万治2(1659)年、絵入りの松会(江戸)版(題簽『絵入り 女かゝ見』)、延宝6( 1678)万屋庄兵衛(江戸)版(題簽『え入 女かがみ』)などが知られる。初版以降、 江戸時代中期まで出版されつづけ人気を博した上層向けの女性教養書である。 寛永3版は『仮名草子集成』巻10、『マイクロ往来物分類集成』に、寛永5版は『マイクロ往 来物分類集成』に影印版がそれぞれ収録されている。
 上巻には序文、他各巻の始に目録(上巻;三十四、中巻;三十五、下巻;四十七)を配 し本文に至る構成。内容は女性の生活一般に関する啓蒙的教訓書で、天地陰陽によって 世界の成り立ちを説明することから始める。生活をめぐる実 践的な項目によって、口伝によった上層の生活習慣・風習を書き表したもの。
 序にもあ るように「ゆうけう(遊興)」には否定的で、草子類についても序列を加え、源氏物語 には否定的である。上巻は五障三従の倫理道徳から説きおこすが、6章以下は手習い、 詠歌、管弦、衣服の仕立て指南、化粧、挨拶を教示し、中巻では主に婚礼の儀式や作法 、また下巻では、日柄方位などを重視しながら、妊娠、出産、育児のための心構えを説 く。
 なお、目録も含め、参考文献としては青山忠一『仮名草紙女訓文芸の研究』(桜楓 社、1982年)、他、中野節子『考える女たち』(大空社、1987)が参考になる。

          立命館大学講師  長 志珠絵

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