ひとよふたよのふしはよしなし。		   と
いひて。きりたりけるとかや。よき女は。かくこそ有べけれ
すべて女は。三の事さうする事あるへし。一にはかたちよく。
二にはふるまひよく。三には心づかひよく有べし。一にかたちよきと
いふは。三十二さう。こと/\く。さうおうするは。むかしも今
も。有がたしよのつねに申ならはしたる。みのたけひ
きく。いたけたいらかに。ひたいひきく。めほころひなかく。ま
なこのひかり。あさやかに。はなうるはしく。さきさがりなら
ずくちびるおヽいに。たヽのときはせはく。わらふときはひろ
く。はおほきにしてきびしくならびて。いろあさやかに。か
みのすぢ。ほそくたをやかにして。くろく。はだへうるほひ。ほ
ねたかヽらず。くびながからずして。ちぶさたいらかにしてかた
かるべし。ゆびふとからずして。ねのうへにこうあるべし。つめ
すなをにして。もヽおほきにあつく。物いふこゑはすみとヽのおる
ことばあざやか成べし。これをとヽのへたるを。よき女と申也。
二にみのふるまひ。よき女といふは。いたヽきより。あしのあな
うらにいたるまで。さはやかに。かみもみにも。あかあらず。けた
かくしんじやうに。おくふかくして。はしちかからず。すだれきは
ちかく。よるべからす。こゑをば。かべよりほかに。もらすべからず。あ
かつきたる物をきず。なつはみを。いきりほとをらさず。ふゆ
はひやしこぐやかさす。にほひくさきものを。じきせず。よその
おとこのうへをいはず。人をいたくほめず。又そしるべからず。そヾ