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本朝貞女物語

本 文  翻刻付
第一 第二 第三 第四 第五

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  翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア言語  
  文化学講座学生阪口由佳さんの協力を得ました。
            解 説
 浅井了意作に擬せられる仮名草子『本朝女鑑』(寛文元〔1661〕年刊) を抜粋再編した『名女物語』(寛文10〔1670〕年刊)をさらに改題したも の。刊記は「元禄八(1695)年亥正月吉辰油屋与兵衛開板」。5巻5冊。
 『本朝女鑑』は,漢の劉向の『列女伝』が母儀・賢明・仁智・貞順・ 節義・弁通・ 嬖の各伝を立てるのに倣い,賢明・仁智・節義・貞行・ 弁通・女式を立ててそれぞれを上下に分かち,全部で12巻としている。 『本朝貞女物語』はそこから計52話を再録している。参考までに,『本 朝貞女物語』第1巻の目録を掲げて,『本朝女鑑』の対応する箇所を括 弧内に示しておく。(なお,読みやすさを考えて,適宜平仮名を漢字に 改めた)。
鎌倉の尼将軍の事(巻2賢明下「二位尼」)
松下禅尼,世の戒めの事(同「松下禅尼」)
舎利尼,戒明僧都と法問の事(同「舎利尼」)
当麻の中将姫の事(同「中将姫」)
皇太后歓子,いかづちに驚かざる事(同「皇太后歓子」)
余佐の厳子,広田の明神と物語の事(同「余佐厳子」)
源信僧都の姉の事(同「源信僧都姉」)
都藍仙,竜に乗り雲に隠れし事(巻1賢明上「都藍仙」)
馬飼の歌依が妻,継子をあはれむ事(同「馬飼歌依妻」)
上毛野形名が妻,智略忠義の事(同「上毛野形名妻」)
京極の御息所,志賀寺の上人の事(巻3仁智上「京極御息所」)
 『本朝貞女物語』の序文は,『本朝女鑑』には見えず,同書を抜粋再 編した人物の手に成ったと思われるものであるが,そこには次のような 一節がある。「女子は陰気をうけて生るゝかゆへにをろかなりといへと も,あるいは賢明なる有,あるひは仁智の道にかなふあり,あるひは節 義をまもる有,あるひは貞心ををこなふ有,あるひは才弁につうするあ り。倭国のいにしへよりこのころきゝつたへし名ある女性をとりあつめ てこゝにしるす。後代の女子のためすこしきをきぬひ(=補い)ともな らんかしと云爾」。ここからは,日本の女性の優れた事蹟を取り集めて 「後代の女子のため」の鑑戒を提供しようという,『本朝女鑑』を抜粋 再編した人物の編集意図を窺うことができよう。
 なお,『本朝女鑑』は,『本朝女鑑』(近世文学資料類従・仮名草子 編7,青山忠一解題,勉誠社,1972年)に影印されており,『日本教育 文庫』孝義篇下(日本図書センター,1977年)に翻刻されている。参考 文献としては,青山忠一『仮名草子女訓文芸の研究』(桜楓社,1982年) 第8章「本朝女鑑」が有益である。

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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