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お産のしおり

本  文


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  翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア言語  
  文化学講座学生松浦由美さんの協力を得ました。    
     解 説

 題簽「安産みちしるべ」、本文51丁。奥付は、摂州西成郡曽根■村/前之法清寺/純 孝院日戒/天明六(1786)丙午年九月、とある。日戒による序文、目録、本文からなる 。序文で作者は執筆の意図として、産前産後の覚として理解しやすいようにかな文にし て吉凶・習慣・養生のための婦人の心得を解説するとし、二十一ヶ条にわたる項目を挙 げている。項目については本文翻刻文を参照されたい。
 妊娠出産をめぐるリスクを避ける手段として、事前の行為の吉凶を方位日柄運勢によっ て解説するもので、具体的な内容としては、産育についての禍福吉凶をめぐる因襲的世 界、指摘が随所に散見される。例えば妊娠しているかどうかを判断するには、足をのば して寝、手のひらで腹部をおさえて「陽気のやわらかなるかたまり」を感じれば「妊身 」である、といった類の説明が続く。他、産後の食事では、甘酒・水・魚かまぼこなど が凶だとされる。妊婦への注意事項だけでなく、男女の病後の用心にもふれている。 また「追加考見之事」として巻末に付録を加えているが、そこでは主に、妊婦の年齢に よって何月に妊娠すると吉方か、といった組合せや小児の疱瘡の手当についての民間療 法が紹介されている。

          立命館大学講師  長 志珠絵

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