奈良女子大学学術情報センター
 所蔵資料電子画像集   女性関連資料 

女 孝 経  

本 文
   解 説
 『女孝経』の和刻本。寛政3(1791)年12月に、江戸の嵩山房小林新兵 衛より刊行された。竹孚休(伝未詳)の跋文を付す。
 『女孝経』は、唐の侯莫陳 の妻鄭氏の著作。冒頭に鄭氏の「女孝経 を進むるの表」をおく。鄭氏は、永王の妃となった姪のためにこの書を 編んだという。この書の章構成や叙述の形式は、書名のとおり『孝経』 に倣ったものである。『孝経』が孔子と曾子の対話であるのに対し、本 書は曹大家(後漢の人。中国の女訓書の原型ともいうべき『女誡』の著 者)と諸女の対話に擬せられている。
 「開宗明義章第一」では、孝が諸徳の根本であると説き、「后妃章第 二」「婦人章第三」「邦君章第四」「庶人章第五」では、身分別に女性 向けの教誡を記す。「事舅姑章第六」では、父母に対するのと同じ敬愛 をもって舅姑につかえよと説き、「三才章第七」では、夫を天として これにつかえよと説く。以下、全18章。
 この和刻本は、跋文に「是の書は本邦先に未だ刊行せず」(原漢文) とあるように、『女孝経』の最初にして唯一の和刻本である。しかし、 この和刻本の刊行以前に『女孝経』が知られていなかったわけではもち ろんなく、明暦2(1656)年刊の辻原元甫編『女四書』(7巻4冊。『女孝 経』2巻・『女論語』2巻・『内訓』2巻・『女誡』1巻より成る)におい てすでに和訳紹介されているなど、近世初頭以来『女孝経』は中国の代 表的な女訓書の一つとして知られていたといえる。
 なお、『女孝経』を含む中国の女訓書については、山崎純一『(教育 からみた)中国女性史資料の研究−『女四書』と『新婦譜』三部書 −』(明治書院、1986年)、 筧久美子「中国の女訓と日本の女訓」 (女性史総合研究会編『日本女性史』第3巻〔東京大学出版会,1982年〕 所収)などが参考になる。

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉


Copyright (C) 1998-2014 Nara Women's University Academic Information Center. All rights reserved.