奈良女子大学学術情報センター
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女 誡 服 膺

          1805年刊

本 文

解 説

 曹大家『女誡』の国字解.内題・版心「女誡」,序文首・題簽「女誡 服膺」,題簽角書「絵入」.田山敬儀解,法橋如水画,清風館蔵板,文 化2(1805)年京都丘本嘉七他刊.序文・後序を付す.著者田山敬儀(1766 〜1814)は小沢廬庵門下の歌人.
 『女誡』は班昭の著作.班昭は,曹世叔という人の妻であったことか ら,曹大家(たいこ)と尊称される.後漢の和熹 太后に仕え,宮廷で 教育係として重きをなし,兄班固の『漢書』を続成したことでも知られ る.『女誡』は,彼女が婚期を迎えた自分の娘のために書き記した教訓 書であるが,当時の知識人に歓迎されて広く流布し,中国の女訓書の原 型ともいうべきものとなった.「卑弱第一」「夫婦第二」「敬慎第三」 「婦行第四」「専心第五」「曲従第六」「和叔妹第七」という構成と内 容をもつ.
 『女誡服膺』は『女誡』の国字解.『女誡』本文を草書体の漢文で掲 げ,左の傍らに返り点を付し,右の傍らに仮名で読み方を記し,本文の 下に二行割注のかたちの和文でその解説を記す.本文の漢字,解説の仮 名とも草書体で書かれている点は,女性向けの国字解である本書の形式 上の特徴である.(漢籍の国字解においては,漢字は楷書体,仮名は片 仮名が用いられるのが普通である).
ただし,『女誡』ははやくも明暦2(1656)年には同年刊行の辻原元甫 編『女四書』(7巻4冊.『女孝経』2巻・『女論語』2巻・『内訓』2巻 ・『女誡』1巻より成る)の一部として和訳紹介されているので,本書 『女誡服膺』が日本における『女誡』受容のうえで何らか画期的な役割 を果たしたといったことはなさそうである.
 なお,『女誡』を含む中国の女訓書については,筧久美子「中国の女 訓と日本の女訓」(女性史総合研究会編『日本女性史』第3巻〔東京大 学出版会,1982年〕所収)が参考になる.

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉


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