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女 小 學 教 草

          1833刊

本 文

解 説

内題「女小学」,題簽「女小学教草」,題簽角書「女四季用文章」. 嘉永5(1852)年大坂敦賀屋九兵衛刊.画工大石真虎,彫工樋口与兵衛. 文海堂主人の天保3(1832)年序文を冠す.
本書の刊記には,「享保十乙巳(1725)年三月刻成 宝暦十三癸未(1763) 年五月新刻 天保四癸巳(1833)年正月再刊 嘉永五壬子(1852)年六月四 刊」とある.ここに言う享保10年版とは,『佩戒絵入女小学』 のこと.
 同書は,宇保氏が伯母の養女となる娘よつに手向として与えた 教訓書であるが,宝暦13年版では,そのような特殊な文脈は払拭されて おり,一般的な教訓書へと再構成されている.天保4年版・嘉永5年版へ と継承されていく「女小学」本文の通行のテクストが確定されるのは, この宝暦13年版においてである.また,この宝暦13年版においては,天 保4年版・嘉永5年版へと継承されていく付載記事もほぼ成立している.
 天保4年版は,宝暦13年版の改刻本で,本文・付載記事とも宝暦13年版 とほぼ同一であるが,挿画は時代にあわせて一新されている.嘉永5年 版は天保4年版の再板本.
本書の付載記事は次の通り.

「蛤合之記」,「歌かるたの記」,「近江八景」,「古今集撰者四人」,牡丹・蓮・菊の図と説明,「女中品定」,「婚礼の図式」,「懐妊産後之事」,「結納進物之図」,「女中躾方之事」,「小笠原流折形」,「至徳皇后」,「蔡人の妻」,「俊成卿女」,「楚白貞姫」,「駿河卑女」,「斉の義継母」,「竹岡の尼」,「王孫氏の母」,「奥村氏の妻」,「孟母」,「菊女」,「女宗」,「梶原妻女」,「斉の孝女」,「手習文字の事」,「いろはの事」,「筆墨硯紙の事」,「和歌の事」,「和歌読む心得之事并人倫和歌絵抄」,「掛香之方」,「しみものおとし」,「そめもの秘伝」,「諸病めうやく」,「七夕祭の事」,「七夕歌づくし」,「琴・三絃の事」,「琴の名所」,「三絃の名所」,「三十六歌仙」,「女中詞之事」,「四季文章」,「男女相性」(本文無題,表紙に貼付された目録による),「当世艶おしろい」,「女中名つくし」,「知死期時」,「新衣服着初吉方」,「魂の数を知る歌」,「守本尊を知る歌」,「不成就日之事」,「願しやうじゆ日」,「うんこう日」,「うけむけの事」,「暦の中段をしる事」,「暦の下だんをしる事」,月水を満る月の事」.

 題簽角書から推すに,このなかでも特に「四季文章」が本書の“うり” であったものと思われる.
 なお,女子用教訓書の付載記事の問題につい ては,『女実語教[こがね]嚢』の解題を参照されたい.
ちなみに,『往来物大系』第86巻(大空社,1994年)には宝暦13年版 の全部と嘉永5年版の一部が影印されており,『(マイクロフィルム版) 往来物分類集成 女子用往来編』(雄松堂フィルム出版)には両版の 全部が収められている.享保10年版については,『佩戒絵入女小学』の解題を参照されたい.また,「女小学」本文の通行のテクスト は,『日本教育文庫』教科書篇(日本図書センター,1977年)に翻刻さ れている.

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉


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