奈良女子大学学術情報センター
学術情報センター 画像DB 女性関連

 

 

繪 本 女 雜 書


翻刻文あり (翻刻文は別ブラウザが開きます)

  ( 翻刻は 文学部言語文化学科日本アジア言語文化学大学院生
佐々木玲子さん、山本彩さん、楠なおみさん、天野波留子さん
本学附属学術情報センター職員 新川敦子さん、の協力を得ました )
 

第 一 第 二 第 三 第 四 第 五
解 説

 題簽「絵本女雑書」。「(巻一)相生之部」にだけ同名の内題が、「(巻五)時■之部」に、裏表紙に「寛政十三(1791)年辛酉正月刻成」とあり、書肆は「浪華書肆」として柏原屋重兵衛、柏原屋庄兵衛、柏原屋嘉兵衛、柏原屋重嘉助、播磨屋嘉助が列挙されている。刊本。5冊。
 相生之部(15丁)・誕生之部(13丁)・干支之部(11丁)・月■之部(12丁)・■■之部(14丁)の五冊からなる。版心に各巻数が記載されている。
 挿絵は岡田玉山画。岡田(法橋)玉山は他にも『繪本妖怪奇談 』『婚礼道具圖集』『住吉名勝図会』などの挿絵で著名。
 巻一は男女の相性占。二丁に「干支六十之図」が掲げられ、干支から性を確認し、よみすすめる形。尤も相性の良いのは木性の男と火性の女性。「家の内富栄へ・・家業日々繁盛すべし」と家政が盛んになることが期待されている。挿絵は細かな描写がなされ、様々な階層の夫婦、家族を描いた風俗資料として興味深い。本文とある程度の対応が見られる。
 巻二は「婚礼の時心得べき事」で婚礼の執行について、「懐胎十月守本尊并婦人養生」では出産に至るまでの十月の赤子の成長過程を解説している。巻末には「弘法大師四目録」。
 巻三は女性の干支による占い。干支によって前世と現世での過ごし方によって来世を占う。例えばきのと年の女は「前世越後の國のうし」であり「仏神を信仰せは来世には高位の人と生るべし」と説かれる。
 第四巻は生まれ月による同様の占い。
 第五巻では、生まれ年にしたがって、現世での年齢による吉凶禍福占い。七丁以降は『女調法呪詛之秘事』が掲載され、「女の男をきらふを止める符」「夫婦の仲を良くする符」など。巻末には畳籤が付録として掲載されている。

          立命館大学講師  長 志珠絵

Copyright (C) 1999-2014 Nara Women's University Academic Information Center. All rights reserved.