本　朝　烈　女　傳

　　解　　説

　書名『本朝列女伝』。内題・尾題・見返しの角書「小学勧善」。榊原芳野閲，松平直温編輯。明治12(1879)年12月23日版権免許，大阪・宝積堂刊。不分巻1冊。明治13(1880)年2月の編者の「緒言」を冠す。
　本書は，編輯者松平直温が，「幼童婦女の修身書に供する」ために，「孝子忠臣貞女列婦の義を踏み難に処するの偉蹟」を，「古今の伝記及び歴史野乗」から「抄出」したもの。各エピソードの末尾に，「編者の意見」が付されている(「緒言」参照)。
　本書は全部で19のエピソードを収めているが，その3分の2弱にあたる12のエピソードは匹田尚昌編輯『本朝列女伝』(明治8〔1875〕年4月序刊,松平頼紀『大東婦女貞烈記』の抄録，97/269『本朝列女伝』解題参照)に見えているものなので，本書は主として同書によりつつ新たなエピソードを補ったものと思われる。