岡 潔 博 士 自 筆 資 料 目 録

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 自筆資料目録の公開にあたって

 ここに収録された遺稿は、岡博士の一周忌(1979年)に際し 晩年まで身近に置かれていたものを披見して以来、数次にわたって見出されものであり、 中には寄贈直前に見つかったもの、遺族以外の方が所持していて寄贈されたものなど、 来歴はさまざまである。
 遺稿の大半は、岡博士の手により、大判封筒などを使用して多くの束に分けられた状態にあった。 寄贈に至るまでに多数の人の手に触れて、束内の順序、束と束の関連など、必ずしも 整然としたものではない。あるいは、岡博士の手元にあった当初から、頁の順序が逆になっていたり 乱れていたと思われるところもある。更に、戦中戦後の物資不足の時代に、大量の用紙を必要とする 研究のために、岡博士は余裕があった初期の時代の研究記録の裏面あるいはノートの余白を活用されていた。 用紙の両面が異なる時代に書かれている場合、古い方の面は順序が乱れていることが多い。
 整理に際して、保存されていたときの小さな束はほぼそのままに、大きな束は内容によって分割した。

 この自筆資料目録は、Web上での公開のために、大略年代順にしてあるが、必ずしも貫徹されているわけではない。 日付がはっきりしないもので、内容からの推定で年代(日付)を付したものもある。
 主要なもの - 遺稿の数734点のうち189点 - については、原資料の画像(大半は PDF )も公開している。(目録中の リンク色になっている部分をクリックすると画像が見られます)

遺稿の性格はきわめて多様であるが、研究の各段階を反映して
  1. 探索・構想の段階
  2. 湧出するイデーを書き留める段階
  3. それを検討・確認していく研究メモの段階
  4. 毎日の考察の結果を文章化して記録した研究記録の段階
  5. 研究成果を論文にまとめる草稿の段階
  6. 研究報告の控、論文の和文原稿、仏文原稿
などがあり、その他に
  1. 学生時代の勉学ノート
  2. 廣島文理科大学、奈良女子大学に於ける講義の準備の詳細なノート
  3. 書簡下書き、研究日誌、数学関係の蔵書の一部、その他
も含まれている。
 1〜3 の段階のものは、特に初期のものは、残念ながらあまり残されていない。 しかし、裏面を利用した用紙の中に、初期の段階の研究メモのカバーであると思われるものなどが見られ、 そこに記されたタイトル、日付によってその当時の研究過程をある程度偲ぶことができる。
 これらの文書を目にして、岡博士の生涯にわたり日々展開された膨大な量の思索の過程を偲び、 岡博士が常々口にしておられた「今の一当は昨の百不当の力也」 という言葉を実感できる気がするように思う。
 このWebページが諸賢の文化創造の努力にいささかの激励を贈ることが出来れば幸いである。