DNAシークエンシング

 DNA塩基配列決定は、ヌクレオチドアナログ(ddNTPs)とDNAポリメラーゼを用いたダイデオキシ(dideoxy)法で決定するのが一般的である。DNA鎖はDNAポリメラーゼにより、dNTPが取り込まれて伸長するが、アナログであるddNTPが取り込まれるとその後のDNA鎖の伸長が阻害される。したがって、DNA合成の際に少量のddNTPが含まれていると、合成の途中でddNTPがある確率で取り込まれ、いろいろな長さの合成産物ができる。これらを電気泳動によって長さによって分別し、塩基配列を決定する。この反応にはTaqDNAポリメラーゼを用い、PCRにより標識を行う。標識方法はダイデオキシ・ターミネーション法と呼ばれるもので、4種のddNTP(ddATP、ddCTP、ddGTP、ddTTP)にそれぞれ異なる蛍光色素が付加されており、一本のチューブの中で4つの標識反応を行わせることが可能である。標識されたDNA断片はシークエンサーで泳動することにより、自動的に塩基配列が取得できる。
以下の方法では、アプライド・バイオシステム社のBig Dye terminator cycle sequencing kitを用いている。

シークエンス標識反応

(1) 0.2mlチューブに以下のものを加える(トータル20μl)。
DNA(ng) ----------------------- xμl
Sequencing reagent mix ------ 4μl
M13 primer (3.2 pmol) -------- 1μl
H2O ------------------------------- (15 - x )μl
(2) サーマルサイクラー(DNA増幅装置)にセットし、プログラムをスタートさせる。
96℃ - 10秒、50℃ - 5秒、60℃ - 4分(これを25回繰り返す)
(3) 2M酢酸ナトリウム溶液(pH 4.5)を2μl、95%エタノールを50μl加えてよく混ぜる。
(4) 氷上に10分間放置。
(5) 14000rpm、室温で20分間遠心し、注意深く上澄みを捨てる。
(6)沈殿に70%エタノールを200μl加え、14000rpm、室温で10分間遠心する。
(7) エタノールを捨て、沈殿を乾燥させ、20μlのTSRに懸濁する。
(8) シークエンサー用チューブに移し、95℃で2分間加熱し、氷上で急冷する。