- スフェロプラスト形質転換法
- 酵母にDNAを形質転換する方法としては、酢酸リチウム法とスフェロプラスト法がある。パン酵母では主として酢酸リチウム法が用いられているが、Candida酵母の多くの株では酢酸リチウム法では形質転換効率がきわめて低いため、手間はかかるがスフェロプラスト法を用いることを推奨する。
- 準備:
- 1M ソルビトール
SPEM (1M ソルビトール, 0.5mM Na2HPO4,:pH 7.2, 0.5mM EDTA:pH 8.0)
2-メルカプトエタノール
Zymolyase 20T (10mg/ml)
STC (1M ソルビトール, 1mM Tris-HCl:pH 7.5, 1mM CaCl2 )
PEG 溶液 (20% PEG 8000, 1mM Tris-Hcl:pH7.5, 1mM CaCl2 )
SOS (1M sorbitol, 0.66mM CaCl2, 0.25% yeast extract, 0.5% Bacto pepton)
MIN-SORB 寒天平板培地(1M ソルビトール, 0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids, 2% グルコース, 1.5% 寒天)
10% SDS
50ml遠沈管
小試験管
方法:
- 寒天平板培地の単集落を液体培地30mlに懸濁し、28℃で一晩振盪培養する。
- 菌液を50mlのチューブに移し、3,000rpmで5分間遠心する。
- 上清を捨て、沈殿に滅菌蒸留水を20ml加え懸濁し、3,000rpmで5分間遠心する。
- 上清を捨て、1M ソルビトールを10ml加え懸濁し、3,000rpmで5分間遠心する。
- 上清を捨て、SPEMを20ml加え懸濁し、さらに2-メルカプトエタノールを40 μl、Zymolyase 20T (10mg/ml)を100 μl加え、30℃で20〜40分間、穏やかな振盪を与えながら培養し、細胞をスフェロプラスト化させた。
*スフェロプラスト化の時間は菌株によって異なるため、株ごとに最適な時間を決定する。
*スフェロプラスト化の確認は細胞を少量とり、スライドガラスに置き10% SDSを等量加え、目視で細胞が透明になるかを判断する。さらに顕微鏡下で約80%の細胞が溶菌してしていればよい。 - 菌液を1,200rpm(100 g)で7分間遠心する。
- 上清を静かに捨て、1M ソルビトール 20mlを加え、穏やかに懸濁し、1,200rpmで10分間遠心する。
- 上清を捨て、静かにSTC 20mlを加え、穏やかに懸濁し1,200rpmで10分間遠心する。
- 上清を捨て、静かにSTC 2mlを加え、穏やかに懸濁する。
- 小試験管に菌液を100μlずつ分注し、10μlのDNAを加え、10分間室温で培養する。
- 小試験管あたりPEG 溶液を1ml静かに加え、室温に10分間放置した後、1,200rpmで10分間遠心する。
- 上清を静かに捨て、SOSを150μl静かに加え、穏やかに懸濁した後、30℃で30分間培養する。
- MIN-SORB 寒天平板培地に細胞をスプレッダーで広げ、28℃で静置培養する。
- 培養後、3〜7日後コロニーが現れる。