高効率コンピテントセル作製法
Hanahan法によるコンピテントセルの作製法よりは簡便であり、その形質転換効率も高い。以下の方法はオリジナルに多少の修正を加えている。
〜出典〜
バイオマニュアルシリーズ2、遺伝子ライブラリーの作成法 野島博(編)、p19-26、羊土社
High efficiency transformation of Escherichia coli with plasmids. Inoue H, Nojima H, Okayama H. Gene.(1990) vol.96 (1): 23-28.
1.コンピテントセルの調製
準備:
SOB培地
ディフコのSOB粉末を200mlのHPLC水に溶かしたものを2Lの三角コルベンに入れ、オートク レーブする。
Transformation buffer (TB)
PIPES ------------------------------ 1.5 g
CaCl2・H2O ---------------------- 1.1 g
KCl --------------------------------- 9.3 g
400mlのHPLC水に懸濁後、5M KOHでpHを6.7〜6.8に合わせる。
つぎに、MnCl2・4H2Oを5.45 g添加し、500mlにメスアップし、ろ過滅菌する。
4℃保存。
500mlの遠沈管
30mlの遠沈管
液体窒素
方法:
(1) ー80℃から取り出した大腸菌(DH5a)をLB培地にストリークし、37℃で一晩培養。
(2) 1〜3mm径のコロニーをまず、1mlのSOBに懸濁し、それを200mlのSOB培地の入った2Lの三角コルベンに移す。
(3) シェーカーで激しく振とうし、18℃で19〜50時間培養する。
(4) OD600=0.4〜0.8に達したら、培養を止め直ちに氷中にて、10分間冷却する。
(5) 培養液を500mlの遠沈管に移し、4℃で3000rpm、15分間遠心する。
(6) 上静を除いた後、60mlの氷冷TBに懸濁し、さらに氷中で10分間冷却する。
(7) 4℃で3000rpm、15分間遠心する。
(8) 上静を除いた後、16mlの氷冷TBに懸濁し、30mlの遠沈管に移し、さらに1.2mlのDMSO(最終濃度7%)を添加し、氷中で10分間冷却する。
(9) 0.5mlづつ1.5mlチューブに分注し、直ちに液体窒素に浸し凍結させる。
(10) ー80℃で保存する。
2.形質転換操作
準備:
SOC
SOB培地に2Mグルコースを1/100加える。
LB+アンピシリン寒天培地
X-gal、IPTG:必要に応じて。
方法:
(1) ー80℃から取り出したコンピテントセル手のひらの中で融解後、氷中に置く。
(2) 50mlずつ、1.5mlチューブに分注し、〜2.5mlのDNAサンプルを加え、氷中で30分間冷却する。
(3) 42℃のヒートブロック中で1分間保持し、氷中で2分間冷却する。
(4) 200mlのSOC液体培地を加え、37℃で1時間培養する。
(5) LB+アンピシリン寒天培地にストリークし、37℃で一晩培養する。