Nara Women's University

国際社会文化学専攻 比較歴史社会学コース

1:概要
2:こんな授業があります
3:院生在籍状況
4:修了後の進路
5:他大学との連携・研究会活動
6:教員紹介
7:修士論文タイトルデータ

1:比較歴史社会学コースの概要
 本コースは,日本史,アジア史,西洋史と比較/文化社会学によって構成されています。「歴史」や「社会」をフィールドに、歴史学と社会学の学際的協力をはかっていくコースです。
 歴史学に関心のある人にとっては、日本史、アジア史、西洋史のスタッフが専攻内にいるため、幅広い視点からのアドバイスを受けることができます。また関連する社会学分野からヒントを得ることもあるかも知れません。社会学に関心のある人にとっても、様々な地域の成り立ちや、関心のある文化の世界での現状について、歴史学のスタッフからヒントを得ることもできるでしょう。
 こうした環境のなかで、あなたも、自分の興味や関心を学問の世界で深めつつ、その成果をユニークなものに育ててみませんか。

 本コースで専門的に学び研究できるのは、以下の分野です。
◆日本社会史(主として中世以降の日本史学)
◆西洋社会史(ヨーロッパ史を中心とする西洋史学一般)
◆アジア社会史(主として宋代以降、特に近代の中国史学)
◆社会学(特に、文化社会学・地域社会学・文化遺産論・観光論・情報メディア論など)

 各教員の研究内容は、下記の教員紹介および「研究者総覧」ページを参照してください。ただし、院生の皆さんは必ずしも教員の研究領域にとらわれる必要なありません。それぞれの問題意識に応じた自由なテーマをそれぞれ扱い、質の高い修士論文の作成をめざしてください。


2:こんな授業があります
 修士論文の作成を進める演習授業等の他に、次のような内容の特論科目が開講さ
れています。これらは非常勤講師もお迎えし、毎年異なるテーマで教員それぞれの専門的な研究領域を講じるものです。(*印は学外からの非常勤講師による講義。毎年異なるテーマで開講されています。)

講義のテーマあれこれ(昨年度以前の例も含む)

●日本社会史・日本文化史関係
日本中世への時代認識、享保改革期における幕政と民衆*、ヒトから国家へ、大日本帝国憲法と日本国憲法、『国風文化』再考、近代日本における日本人の朝鮮観*、『神国思想』をめぐる諸問題*

●アジア社会史関係
『海国図志』にみる情報空間、近代中国の対外関係史-対アメリカを中心に*、外交交渉からみる近代中国史*、経済史の視点からみる東アジア史*

●西洋社会史関係
『四皇帝の年』とローマ帝国*、ローマ帝国支配下のアテネ*、イタリア古代史への考古学的アプローチ*、古代エジプト史と近代エジプト史学*、中世イタリア都市の都市景観、中世異端とキリスト教社会*、中世ローマの現実とイメージ、拡大する中世・近世ヨーロッパ*、16-17世紀英国のアンティクァリニズム(尚古癖)*、近代ドイツの医療*、フランス近代歴史学の成立と展開

●比較(文化)社会学関係
構造主義の理論と展開*、向精神物質をめぐる作法と社会秩序をめぐる思考*、『作られ・経験されるもの』としての場所・地域・人間関係、ナチズムのメディア戦略*、観光まちづくりにみる現代日本社会*


3:院生在籍状況
 現在、本コースの在籍院生数は、分野別に次のようになっています。きめの細かい少人数教育が特徴です。

比較歴史社会学コース(大学院博士前期課程)在籍者数(平成19年度末現在)

●2年次生(M2)
  日本社会史 3名 西洋社会史 2名  アジア社会史 1名  社会学 3名
●1年次生(M1)
  日本社会史 3名 西洋社会史 1名  アジア社会史 1名  社会学 2名

  計16名 (うち外国人学生 中国 2名)


4:修了後の進路
 本コース修了後進路はおおきく二つに分かれます。ひとつは就職、もうひとつは博士後期課程への進学です。
 就職先としては、一般企業以外にも、中高の教員、官公庁、メディア関係など多岐にわたっています。高等学校で歴史を担当する教員、海外で交渉にあたる政府職員、日々取材に走り回る新進気鋭の新聞記者、楽器を製作する老舗企業での宣伝・マーケティングの仕事など、修了者(採用決定による中退を含む)たちは多方面で活躍しています。
 いっぽう、本コース発足以来の修了者(平成19年度末までで約60名)のうちほぼ半数は、大学教員といった教育・研究職や研究を生かした専門職の道をめざして、博士後期課程に進学しています。進学先は本学が中心ですが、京都大学など他大学に進むケースもあります。


5:他大学との連携・研究会活動
 他大学大学院との単位互換制度があります。京都大学大学院(文学研究科・人間環境学研究科)や神戸大学大学院(文学研究科)の授業を在学中に受講し単位を取得することが可能です。さらに履修登録により先方大学の図書館の利用が可能となる場合もあるので、研究の幅を広げることができます。

研究活動紹介

史学会と『寧楽史苑
 史学会は、歴史学の研究・教育の発展と会員相互の親睦をはかるために、会誌『寧楽史苑』の発行、月例会を中心とした研究会、秋の総会とそれに伴う講演会やシンポジウムの開催などを行っています。歴史に関係する奈良女子大学教員・在学生・卒業生が会員です。
 『寧楽史苑』は、史学会が毎年一回発行している会誌です。大学院生や教員の研究論文が主に掲載されています。時には優秀な卒業論文が掲載されることもあります。月例会の研究報告については、簡略に整理された内容が載っていますので、大学院生の大半の研究内容を知ることができます。
→『寧楽史苑
現物は、webcat等で検索の上、所蔵している大学図書館でご閲覧ください。

奈良女子大学社会学研究会と『奈良女子大学 社会学論集
 本学内(文学部、生活環境学部、人間文化研究科)の社会学関係の教員と大学院生(修了者を含む)によって構成される社会学の研究会。本コースの院生が、社会情報学コースや生活文化学コースの教員・院生と研究上の交流を持つ場としても機能しています。年一回の研究総会開催の他、論集も発刊しています。
 この『奈良女子大学 社会学論集』は、主として博士後期課程在籍者および教員の研究発表の場となっていますが、博士前期課程在籍者の論文や書評論文が掲載されることもあります。レフェリー制を導入し、高い水準を維持しています。
→『奈良女子大学 社会学論集
現物は、webcat等で検索の上、所蔵している大学図書館でご閲覧ください。

その他の研究活動
 以上のほかに、在籍者がこれまで参加してきた研究会としては、次のようなものがあります:日本史研究会、大阪歴史学会、関西中世史研究会、関西フランス史研究会、近代社会史研究会、関西政治史研究会、スペイン学会、デュルケーム/デュルケーム学派研究会など


6:教員紹介(「研究者総覧」もご参照ください)
 日本社会史分野
小路田 泰直 ●研究分野:
日本近代史学史・日本近代都市論
●研究テーマ:
 時々の時代に書かれる歴史学は、ある意味でその時代を映す鏡である。そこで史学史を描くことを通じて、日本社会の思想史を、近代という到達点を視野に入れながら描く。
 人は都市なしでは生きられない。その意味で、都市の歴史は人の歴史と共に古い。その都市の歴史を描くことを通じて、日本近代をより深く、深奥から捉える。
●主な著書:
『「邪馬台国」と日本人』(平凡社、2001年) 
『戦後的知と「私利私欲」』(柏書房、2001年)
『国家の語り方ー歴史学からの憲法解釈ー』(勁草書房、2006年)
『古代日本の構造と原理』(共編 青木書店、2007年)ほか
●主な担当授業
日本近代社会史特論・演習
西谷地 晴美 ●研究分野:
日本中世における歴史意識・時空認識の研究
●研究テーマ:
 日本中世社会において必要とされた過去(歴史)を、上古と中古という時間表現に注目しながら解明する。日本の古代・中世において社会に影響を与えた時間観念が、どのような空間認識と相関関係をもっていたのかを調査し、当該期の人々の意識構造を解明する。
●主な著書:
『岸和田市史 第二巻』(共著,1996年)
『新体系日本史3 土地所有史』(共著、山川出版社、2002年)
『弥生時代千年の問い』(共著、ゆまに書房、2003年)
『加西市史 第八巻』(共著、2006年)ほか
●主な担当授業
日本中世社会史特論・演習
 アジア社会史分野
井上 裕正 ●専門分野:
中国近代史 東アジア近代史
●研究テーマ:
 アヘン戦争(1840?1842年)以後、中国における国際関係史(日中関係を含む)を考察する。
●主な著書:
『増補 近代日中関係史研究入門』(共著、研文出版,1996年)
『中華帝国の危機 <世界の歴史第19巻>』(共著、中央公論社、1997年)
『清代アヘン政策史の研究』(京都大学学術出版会,2004年)
『中国歴史研究入門』(共著、名古屋大学出版会、2006年)ほか
●主な担当授業
アジア社会史特論・演習
 西洋社会史分野
渡辺 和行 ●研究分野:
フランス社会史・フランス史
●研究テーマ:
 国民と外国人の関係の問題は、移民社会に突入した現在、わが国でも重要な課題となっている。移民問題の先進国フランスの移民政策、移民に対するフランス世論、移民のソシアビリテについて、歴史的な解明を進めている。
 近代フランスの歴史家と歴史学を解明することは、「アナール史学」の揺りかごを明らかにする上でも重要である。歴史学の制度化、歴史学の科学化、歴史学の国民化という3つの観点から研究を進めている。
●主な著書:
『フランス人とスペイン内戦』(ミネルヴァ書房、2003年)
『ヴィシー時代のフランス』(共訳、柏書房、2004年)
『ネイションとナショナリズムの教育社会史』(共著、昭和堂、2004年)
『近代フランスの歴史』(共編著、ミネルヴァ書房、2007年)
『エトランジェのフランス史』(山川出版社、2007年)ほか
●主な担当授業
西洋近代社会史特論・演習
山辺 規子 ●研究分野:
イタリアを中心とするヨーロッパ中世史
●研究テーマ:
 イタリアは、地域ごと、都市ごとにさまざまな顔を見せ、実に変化に富んでいる。それでいて、その文化意識、空間認識には共通するものを持っている。このような多様性と共通性のありかたは、ヨーロッパ全体に通じる。このような特質を、都市空間や食の歴史を通じて明らかにしていく。
●主な著書:
『コミュニケーションの社会史』(共著、ミネルヴァ書房、2001年)
『史料が語る中世ヨーロッパ』(共著、刀水書房、2004年)
『大学で学ぶ西洋史[古代・中世編]』(共編著、ミネルヴァ書房、2006年)
『イタリア都市社会史入門』(共編著、昭和堂、2008年)ほか
●主な担当授業
西洋中世社会史特論・演習
 社会学分野
小川 伸彦 ●専門分野:
文化社会学、文化遺産論
●研究テーマ:
 人間は利己的であると同時に、一人では生きられない存在である。<文化>はそんな人間同士の接着剤なのかもしれない。しかし<文化>は、人間を反目させる原因にもなる……。このような複眼的視点から、儀礼やシンボルの社会学的研究や現代社会における文化遺産の役割について研究している。
●主な著書
『文化遺産の社会学』(共著、新曜社、2002年)
『現代文化の社会学 入門』(共編著、ミネルヴァ書房、2007年)
●主な担当授業
比較文化社会学特論・演習
寺岡 伸悟 ●専門分野:
地域社会学、奈良地域研究、情報メディア論
●研究テーマ:
地域文化,地域づくり,食と農業,地域メディア論
韓国との比較の視点も交えて研究を進めていきたいと思います。
●主な著書:
『観光社会文化論講義』(くんぷる社),『地域表象過程と人間』(行路社)
●主な担当授業
文化社会学特論・演習


7:修士論文タイトルデータ
 大学院前期課程の最終的な修学目的は、それぞれのテーマで質の高い修士論文を作成することにあります。これまで提出された修士論文タイトルには下記のようなものがあります。

 日本社会史
・労働力動員からみる領主制の一断面?余剰労働力社会としての中世社会像構築にむけて?
・戦後日本とヤクザ ?日本社会の構造を探る?
・「財」観の変遷について ?「宝」との比較を軸に?
・鬼神論考
・形成期における茶の湯の思想について
・大麻の日本史
・明治初期における法と人間を巡る対立 -江藤新平による民法作成の意義-
・『政基公旅引付』にみえる領主と村落
・近世における統治と「楽」
・松平定信の「鎖国」観
・弔いの政治学
・「楽」の思想 -歴史的展開とその機能-
・ 愚管抄の歴史記述と歴史認識
・室町期徳政の性格
・室町幕府の京都支配 -掃除の在り方をめぐって-
・古代の公と私
・1930-40年代の国家観
・『婦人の友』の家庭観と読者の組織化
・明治維新論
・宣長学の思想構造について -「宣長問題」を起点として-
・中世武家統治思想
・江戸時代の捨子政策
・近世仏教における肉食妻帯問題について
・近代日本における「国民的自覚」
・犬神はいかにしてつくられたか -犬神の成立に関する考察-
・近世の医師をめぐる問題
 アジア社会史
・梁啓超と孫文?神戸日華実業協会を通して見る神戸華僑の在り方?
・乾隆帝と圓明園造園
・清末中国における人種論の梁啓超
・清末における留学政策 -留学帰国者を対象とする官僚登用制度を中心に-
・19-20世紀転換期における黄禍論と中国 -特にアメリカ合衆国との関係を中心に-
・清末、直隷省における治安維持制度改革
・19世紀中国における紙幣論について
・李鴻章の鉄道政策
 西洋社会史
・ブルゴーニュ・ハプスブルク期ネーデルランドの領域問題
・16世紀ヴェネツィアにおける都市計画
・西洋史 中世末期フィレンツェにおける女性
・プランタジネット家支配下におけるブルターニュ
・ルイ14世治下のカミザール戦争
・第一次世界大戦下のカナダ移民
・リソルジメントにおけるミラノ1848年革命の意義
・古代ギリシア人の死生観
・12世紀におけるパリの首都化
・19世紀イギリスにおけるコンサート文化の研究
・フランス第二帝政期の労働者世界
 社会学
・メディアとしてのモニュメント
・寄席芸としての安来節 -その都市的受容と展開-
・ニヒリズム超越の可能性としての癒し産業
・武力紛争における妥協
・刑罰と裁判における可視性
・学校社会におけるいじめ現象に関する考察
・文化遺産と<真正性> -世界遺産「麗江旧市街」の事例から-
・ツーリズムと文化的アイデンティティ



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