■聞くこととしての時間 −生きた時間の記述


企  画: 森岡正芳(神戸大学)

登壇者: 江口重幸(東京武蔵野病院)
      「ストーリーに時間が流れる:
       ジャネの臨床物語論=時間論を手がかりに」

      立岩真也(立命館大学)

      辻本昌弘(東北大学)
      「地域社会の歴史と相互協力」

日  時: 9月30日 14:45〜17:30 

場  所: 講堂


 時間が量で計られることの意味とその限界をふまえたうえで、質的心理学会が率先して取り組むべきテーマは時間の質についてである。これはあまりにも大きく根源的すぎるテーマであるが、果敢に取り組んでみよう。時間の質と量という対比について多くの人は、エンデの『モモ』という作品を思い起こすであろう。モモは時間どろぼうとたたかう。時間どろぼうは人々に時間を節約することを勧めながら、相手の時間を奪い取る。彼らにとって時間は単純集計で数値化され、均一的にコントロールされる。モモは時間を取り戻すためにどういう方法を採ったのだろう。モモはひたすら聞くことによって、時間どろぼうとたたかう。聞くことが生きた時間を生むことにつながる。
 さまざまなフィールドで人に接し、支えながら、実践研究者はどのような点を考慮しまた迷いつつ、生きる時間へとはいっていくのだろう。最前線の3人のシンポジストたちから、工夫の一端をご紹介いただき、この難問に接近する手がかりを得たい。