溝口印舗は業務用や個人の印鑑を扱うお店です。
創業者は戦争で焼けた大阪を離れて、昭和21(1946)年にここにお店を開きました。 現在は、創業者の息子の奥さんが一人で切り盛りしています。
お客さんは、奈良女に近いこともあっておもに大学関係や会社です。 卸から買い、できた製品を注文先へ直接届けます。 一番売れている商品は、既製品の印鑑。
しかし、「印鑑もねぇ、100円ショップで売っているから。よっぽど珍しい名字なら…」と語る店主。 また、最近はインターネットでハンコを取り寄せるができるため、パソコンのない溝口印舗は昔に比べると来客数は減り、外回りを走ることが多いそうです。
店主は、早くにご主人を亡くされ、小さな子どもを抱えて寒い日も一人で自転車で走りまわったときが一番大変だったそうです。 そのような苦労が多い中で、ご主人が亡くなったことを知らない古いお客さんが、「ご主人、元気にしてはる?」と
尋ねてきてくれたりするときが一番嬉しいそうです。
また、10月1日は全日本日本印章業組合連合会が定めた「印章の日」。 使わなくなった印鑑を集めて、下賀茂神社で祈祷してもらいます。 お店でもポスターを貼って宣伝を行っています。
「仕事をしていていつも心掛けていることは何ですか?」と尋ねると、 「明るい笑顔。看板娘じゃなくて、看板おばちゃん。」 と笑顔で答えてくださいました。(亜・彩)
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