いらっしゃったお客様に、楽しくお茶を買っていただくことを店の信条とする創業55年の山本茶舗。 お茶一本に絞った経営は、戦後まもなくの創業以来少しも変わることがありません。
店舗は決して広くなく、戸棚には古めかしい木箱が並んでいます。 店の歴史と店主の心意気を感じさせる店構えについて、店主は「観光や散策途中の日本人や外国人が写真を撮っていくね、珍しいからかな」と笑います。
店を訪れるのは近所の人。半数は女性で、家庭用のお茶を求めてくるのだとおっしゃいます。寒い冬から新茶の出る初夏にかけてが繁盛期だそうです。
正直な話、お茶の専門店なんてこのご時勢に厳しいのでは?と聞くと、「日によっては(厳しい日も)あるね」と答えてくれました。 しかし言葉の裏には、「それでも良いお茶を提供しているからこそお客さんが来てくれる」という店主の自信と誇りが隠されているようです。
お客さんとの会話を大切にすることと、量り売りが店のモットーだと言われます。 買物に来たお客さんにお茶を勧め、なんとはない世間話をする。そんなひとりひとりのお客さんを大切にするという態度が、長く商売を続けて来れた秘訣なのでしょう。
帰り際、客ではない私たちにもお茶をごちそうしてくださいました。 寒かったので、温かいお茶がとても嬉しかったです。(藤)
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