「講演会」を開催しました

『源氏物語』にみえる牛車−古典文学の歴史学的楽しみ方−
      

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 私達が現代小説を読むように、古典文学を読むには、書かれた時代の歴史状況や政治的な背景

を加えるとより味わい深いものがある。

 平安時代の都(平安京)の乗り物に、輿・牛車・馬があった。そこで、『源氏物語』にみえる「牛車」を

中心に歴史学的観点からみていくと、さらに興味深い。

天皇、貴族などの位によって乗り物の種類が定まっており、名称や意匠、構造なども異なっていた。

乗る人の用向きによっても使い分けられていた。しかも、乗り合わせる人達の人間関係、時にはそ

こに政治背景も反映していた。

 京樂氏は、牛車の形態や意匠の違いを、現代人が乗る車種に例え、江戸後期の故実書である

『輿車図考』をもとにしてそれぞれの牛車の違いを説明された。

 さらに『枕草子』に、「枇榔毛車(びろうげのくるま:高級車)はゆっくりと、網代車(あじろぐるま:

一般車)は急いで進めるのがよい」と記した清少納言の感じかたを紹介された。

 また、藤原実資の『小右記』に、道長が最上級の牛車である唐車(からぐるま)に乗りたがったこと、

牛車に乗り合わせた人達のあいだに政治的思惑が展開したと記されていることなどを話された。

 このようなことを説明された後、「源氏物語」の葵・賢木・須磨・若菜上・橋姫・宿木・夕顔のそれ

ぞれの原文を引用され、この長編物語のなかでの牛車は効果的な役割をはたしていること、当時

の読者は、平安時代の歴史的状況や政治的背景を理解したうえで、牛車の違いからもこの物語を

鑑賞していたと述べられた。

 佐保会館には、近畿各地から77名の方々がご参加くださいました。アンケートには、文学作品

の鑑賞の幅が広がった。乗り物の違いによる政治的背景が見えるなど、源氏物語を違った視点

で鑑賞できて参考になった。服装編もお願いしたいという講演会への希望もお寄せくださいました。



講  師   京樂 真帆子 先生 (滋賀県立大学 人間文化部 地域文化学科 教授)
日  時   2月14日(土曜日)  13時30分〜15時00分
場  所   佐保会館2階大ホール


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当日の風景




当日のポスター