講演会「コンピュータが人間の知性を『超える』」当日の概観

                

「人工知能が人間の知性を『超える』とはどんな意義を持っているのか」コンピューターとプロ棋士が対戦

した『電王戦』を1例として考えてみたいと思います。第1回電王戦は2012年に始まりました。その時 プロ

棋士達(将棋連盟の4段以上)も一般の人々もコンピューターソフトが勝つとは思っていませんでした。ただ 

羽生七冠のみは 2015年 と答えたそうです。 1976年に「セルフ将棋」が出来ましたがプロ棋士とは相手に

なれません。しかし第1回電王戦の対戦者となった米長永世棋聖(九段)が3勝1敗で敗れると 俄然注目

されます。しかしこの頃は600台のコンピューターを繋いで1:600でプロ棋士と対戦していました。将棋の指し

手は10の64乗ありその総てをソフトに覚えさせることは不可能です。(プロ棋士《4段以上》は脳細胞の中に

よい棋譜を総て覚えています。)第2〜3回電王戦でもソフトが勝ちましたが、プロ棋士側はソフトを1台とする

こと。対戦前6ケ月ソフトを貸し出すことを要請。2015年研究されつくしてソフトは2勝3敗で負けました。ここで

情報処理学会「コンピューター将棋プロジェクト」は終了します。 2016年 イギリスのハサビスが開発した

「ALphaGO」が韓国の囲碁の名人イ・セドル名人を4勝1敗で破ります。「アルファ碁」は日本の「ポナンザ」とは

全くアルゴリズムが異なりますが、「PONANZA」も奮起します。 答えは 評価関数 例えば 玉・金・銀の駒

の組み合わせの指し手の中で、一番良い手を選んで駒の価値に応じて点数を付ける。3つの駒の組み合わ

せの指し手の中で勝てるものを選びます。また また プロ棋士が指した対局の棋譜の中で最も優れたもの

を教師として入れる。それらの多変数関数の「最小値」を求め総ペネルティーが最小となるパラメーターを選

んでソフトに入れる。(数学科ならではできないことですね)かくして 「ポナンザ」は 世界のソフトの大会でも

2連覇を果たし世界最強となり、多分「人工知能」は人間の知性を越えたでしょう。勝負は終わりました。

2016年 第2回電王戦(新)は対戦者 山崎叡王(八段)を2勝0敗で破りました。  本年度は 第2回叡王戦

に 羽生善治3冠がエントリーしました。優勝すれば 第3回電王戦の対戦者となります。皆が期待するところ

ですが 「人工知能」と人間の棋士との対戦はイベントになりつつあります。(スポンサー付き) 「人工知能(知

的な機械)は近未来に人間の知性を超えるでしょう。しかしその先にはまた大きな問題が待っています。「悪」

に引きずり込まれない「心」を入れる必要があるでしょう。平和を守るためには。しかし 本日の講演者はそこ

まではやりたくないようでした。彼は心優しい研究者なのです。                    中井和子