第18回佐保塾 史跡めぐり(佐保会奈良支部共催) 

『奈良には古き仏たちー長谷寺と安倍文殊院を巡るー』を開催しました。

   
開催日:平成29年10月20日(金)

講 師:鈴木喜博氏(奈良国立博物館名誉館員)

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 佐保会奈良支部で行われている鈴木喜博氏の人気の仏像シリーズです。3回目は、今、注目を浴びている

快慶にスポットを当て、長谷寺と安倍文殊院を訪ねました。大阪・兵庫・滋賀などの参加者と一緒に、バスに

乗って、一路長谷寺へ。多くの古典文学に登場するこの寺は、729年に創建され、その後7度の火災にあい、

ことごとく焼失しましたが、その度にすぐに再興され、現在に至っています。

 寺伝によると、近江国高島郡から流失した樟(くす)の巨木が各地で災いを呼び、霊木として恐れられました

が、なぜか長谷まで運ばれ、観音像として祀られることによって祟りを鎮め、人々をまもる仏になりました。こ

れが本尊の十一面観音であり、古代からの「巨木・霊木信仰」の1つと考えられます。建物と共に本尊も何度

も焼失し、1219年には快慶が製作しましたが、残念ながらこれも焼失しました。現在の本尊は、1538年、東大

寺の実清(じっせい)がプロデュースし、僅か1ヶ月で作られたそうです。十メートル余もある目を見張るような

大きさは、木造の十一面観音像としては日本一です。何度焼失してもすぐに再興されたのは。長谷寺の財力

と時の権力者の援助によるものであり、長谷の観音信仰の篤さを物語っています。

 次に訪れたのは、安倍文殊院。国宝の渡海文殊菩薩群像(五体)を間近にしてお話を伺いました。本尊の

騎獅文殊菩薩像は高さ7メートルで日本最大です。また、これら国宝五体のうち、四体は鎌倉時代の 快慶作

ですが、文殊菩薩台座の獅子と左後の最勝老人像は安土桃山時代の作です。「緊張というキーワード」で見

る時、その違いは歴然としています。その他にも、今にも歩きだしそうな動きある善財童子と、他寺の善財童

子との違いなど、興味深いお話に時間が経つのを忘れるひとときでした。

 この日は、一日中、雨模様でしたが、山の斜面に建つ長谷寺の舞台に立つと、雨にけむる山並みは、より

一層、私達を幽玄の世界へと誘い入れ、安倍文殊院に咲くコスモスは、しっとりとした風 情で私達の心を包

み込んでくれました。

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当日の風景

     

     

     

当日のちらし