素粒子遠隔授業が行われました

 SSH事業の一環として、本校と熊本県南小国中学校、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の3地点で、インターネット回線を利用した遠隔授業が行われました。

 題材は、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏が研究されている素粒子物理学です。この難解な内容を、奈良教育大学の指導のもと本校教員が中学生にも分かりやすく工夫しました。

 これまでにこの分野の講義について高校生対象の実践例はありましたが、今回は中学生を対象に実践を行うという新しい試みを行いました。そこで、講師側と生徒を参加させる学校側の連携を密にして実践内容の協議を行いました。

 また、授業は同時に撮影した複数の映像を合成し、1つの映像として共有できる大阪大学の超鏡システム(ハイパーミラー)を使用して行いました。さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が所有する超高速インターネット衛星「きずな」を利用することで、高速大容量通信が実現できました。

 授業は1月28日、2月20日、2月24日の計3回行われました。

 1月28日は奈良教育大学で実施しました。KEKの方に指導していただきながら霧箱を製作し、目に見えない素粒子を「見る」体験をしました。最後には授業の感想を川柳で表現し、楽しく授業が終了しました。

 2月20日は奈良女子大学で実施しました。高エネルギー物理学研究室の宮林謙吉准教授のご指導のもと、ワイヤーチェンバーを製作しました。出来上がったワイヤーチェンバーを使って放射線を観測することができ、参加した生徒は非常に感動していました。

 2月24日は本校で実施しました。本校と南小国中学校の生徒それぞれが実験・観察した結果を報告しました。南小国中学校の生徒は宇宙線の天頂角分布について、本校の生徒は20日に行ったワイヤーチェンバーの実験結果と、1回目の授業の追実験の結果を報告しました。両校の生徒から質問が飛び交うなど、活気にあふれた報告会でした。わからない部分はKEKの方に補足説明をしていただきました。

 この3回の授業を通して、「ちょっと難しいけど面白い」素粒子物理学を学ぶことができ、科学への興味・関心がさらに高めることができたと思います。

<宮林先生のコメント>
 素粒子の実験を行う研究では、今回、みなさんに製作してもらったワイヤーチェンバーのような粒子検出器の技術が不可欠です。電子やミュー粒子など、人間の五感では直接検知できないものを、工夫して条件を整えれば誰でも検出できるということを実感できたでしょうか。この経験が、「五感でわからない」ものであっても「条件さえ整えれば誰でも」検出可能ということが再現されるというところが科学が思い込みや崇拝とは違う点だと、わかってもらえるのに役立っていれば、嬉しいと思っています。