世界物理年 秋のイベント「究める科学・活かす技術」
(2005/10/15)
参加した生徒のレポート
※本校は6年一貫教育の中等教育学校なので、高校1年〜高校3年を4年〜6年と呼んでいます。
4年

 今回参加して、大きく分けて3つのことを学んだと思う。

 まず、一つ目は最先端の技術のもたらした成果だ。僕は理系を中心にこれまで勉強してきたが、その内容は力学と幾何とプログラミングにし ぼっていた。だから、あまり技術が形となって現れているものについて 勉強した試しは無かった。

 2階の展示室には小さな3Dディスプレイや燃料電池のパソコン 等、これまであまり興味の無かった分野の展示があって、特に興味深く思ったのは、量子テクノロジーだ。量子と言えば、不安定で次元が狂っていて、理論では分かっても実際の利用価値はいい騒がれているほど大きくないと考えていた。しかし、今回のパネル等を見て、とても将来性のある分野だと言うことに気がついた。

 2つ目は、努力の大切さだ。これまで僕は、興味のある分野には特に力を入れて勉強してきた。例えば、プログラミング等では新しい言語を覚えるために一日5時間くらいパソコンの前に座ったり、力学の方程式をハッシュの観点からppcx64での実行に最適化するのにとても多くの時間を費やしたり、英検2級を受ける前はアメリカ映画やABCニュースを半日くらいぶっ通しで見たりした。しかし、それ以外のことでは学校で習う程度しか勉強はしていなかった。でも、今回すばるのお話で、技術系の方が本来は関係のない天文を勉強をなさったりしたことを聞いて、僕ももう少し幅広く勉強すべきと自覚した。

 3つ目は、夏休みの数理の翼セミナーで学んだことの復習及び補足になったことだ。僕はこの夏休みにセミナーに参加したが、数理の翼ではなかなか分からないこともあった。今回のセッションの内容が、たまたま数理の翼の内容と符合する点が多かったので、とてもいい復習になって、分からなかった部分が少し分かるようになった。

 今回は、ほんとうにたくさんのことを学べた。週末家でずっと勉強しているより、ずっと充実した週末だったと思う。
6年

 「科学において踏み込んでならない領域などはない。そういうものを自分の中でつくり進むことを止めるべきではないのだ。(中略)ただ、しっかり考えなければならないのは使う人間である。」これが私が今回の講演会・特別懇親セミナーに参加させていただいて一番心に残った一言である。これを仰ったのは、かの有名なノーベル賞受賞者である小柴昌俊さんである。これは懇親セミナーでの学生の質問「最近は遺伝子治療なのどの技術が発達してきていますが、私は科学が踏み込んではならない領域があると思っていますが小柴さんはどうお考えになりますか?」という質問に対しての答えである。これは私の中ですごく考えさせられた問題である。クローンの問題しかり核兵器しかり。これらの技術は使い方次第では大きな問題となり得る。それを考えていく上でもより多くの人がこれらの技術に興味を持ち考えていく事がこれからの課題であると考えさせられた。

 さて今回は懇談セミナーで小柴さんの話を聞いたので深く印象に残った事は小柴さんの話である。であるが、他のことについても触れると、今回のイベントでは最先端技術の展示も行なわれており、最新の量子コンピューター、暗号化技術、顔識別装置などさまざまな技術の図解がしてあり専門の方が横で質問に答えてもらえた。月並みな感想となるが今日の科学技術の発展は本当にめざましいものがあると思う。

 最後になるがカミオカンデなど小柴さんの業績の多くは小柴さんの著書である「物理屋になりたかったんだよ」「ようこそニュートリノ天文物理学へ」に書かれているので興味のある人は読むことを強く勧める。
5年

 東京で開かれた、『世界物理年 秋のイベント』に参加しての感想を、以下に簡単に述べる。

 私は、おそらく参加者の中でも数少ない文系の高校生だったが、イベントの内容は、私にとっても、意外なほど理解しやすいものだった。おのおのの分野で著名な実績をおさめた研究者たちによって、研究の説明が平易な言葉でなされた。また、それにまつわるさまざまの苦労や、失敗談なども、生き生きと語られたのが印象的だった。私は、四つある講演のうち、「“すばる”に見る人の知恵と技」、「物理学者の夢・企業家の心」、「半導体研究開発とIT社会」と題された、三つの公演に参加することができたが、どれもに共通していたのは、条件のよくない日本で、欧米の有力なライバルが目を見張るような成功を成し遂げたということだ。研究を支えたのは、技術者たちの妥協を許さない職人的気質、打算を度外視した探究心、そして創意工夫だった。恵まれない条件から、世界一の技術大国にのし上がった、かつての日本の原動力を見たように思え、感銘を受けた。

 加えて私は、西澤潤一氏、伊澤達夫氏による、高校生・大学生のための特別懇談セミナーに参加した。ここでは、光通信の進展と、伊澤氏の業績について簡単な紹介の後、学生から講師への質問がなされた。参加者の多数が大学院生ということもあり、研究者を志すものの心構えなどに関する質問がほとんどを占めた。一例を紹介すると、「失敗に対するモチベーションの保ち方 気持ちの切り替えはどうすればよいか」との問いに、「失敗を避ける努力がまず重要。思いつきをすぐ行動に移すのではなく、自分の中でよく吟味して。失敗を繰り返す者には協力は得られない」といったように、一流の研究者の哲学が垣間見られるような回答があった。

4年

 今回のイベントでは、たくさんの著名な人の講演があり、とても1日ですべてを聞けるようなものではなかった。できれば2日くらいかけて講演を聞きたかったな、というのがまず始めに思った事だ。

 僕は3つの講演会と1つの懇談セミナーを受けたが、講演の中で一番印象に残ったのは、すばる望遠鏡の話だ。僕は、すばる望遠鏡が見た星とかよりも、すばる望遠鏡に使われている技術の方に興味が湧いた。将来、物作りがしたい僕にとって、そういった最先端の技術を見せてもらう事はたのしいばかりだった。すばる望遠鏡は日本が作った世界第一級の望遠鏡で、その実力は、宇宙にあるハッブル宇宙望遠鏡と同じくらいだそうだ。そこには数々の技術が応用されている。すばる望遠鏡の反射鏡は8.6mあるのだが、これだけ大きいと重量もかなりのものになり、重力で鏡がたわんでしまうのだ。そうすると綺麗な像が写せない。そこで鏡の下に何百本も伸縮するシリンダーを設置し、そのシリンダーをコンピューターで制御する事によってたわみを直す技術が使われている。これにはどれくらいずれているのかを正確に検出し、何ナノメートルという単位で正確にシリンダーを制御させなければいけない。こういうものを見ると日本の技術力の高さに驚く。また星を観測するときに空気のゆれによって星がゆらゆらゆれる(星が瞬くというのはこのこと)のだが、このゆれを補正するのにも最先端の技術が使われている。まず、近くにある明るい星を観測してどれくらい空気がゆれているかを測定し、集めた光を可変する鏡で反射させて、そのゆれを打ち消すというものだ。もちろん空気のゆれなど不規則なものだから、リアルタイムで鏡を可変させる必要がある。また、この装置は更なる進化を目指している。今までは近くにある明るい星を基準にしていたが、今度はレーザーを使って人工的に空に光るものを作るというものだ。また1秒間にずれを2000回測定できるようになる。これにより2006年にはハッブル宇宙望遠鏡の3倍の解像度を実現できるらしい。すばる望遠鏡を実際に作った三神さんは、技術を継承していく上で重要な事は、難しいプロジェクトを経験する事とし、そのために会社を説得していこうと話していた。

 もう一つ印象に残った話として、何と言っても小柴さんの話がとても印象的だった。カミオカンデでノーベル賞を取った小柴さんだが、小さい頃小児麻痺にかかってしまったそうだ。そのとき必死で頑張って動かなかった手足を動くようにした話をしてくれた。そしてその経験からやればできる、ということを話してくれた。小柴さんの人生談を聞いていると、努力をすれば結果がついてくる、逆にいえば努力もしないのに結果はついてこない、という気がした。

 懇談セミナーでは江崎玲於奈さんの半導体の話を聞いた。懇談セミナーでは少人数で、生徒からの質問も受けながらの講義だった。が、半導体の事は難しくてよく分からなかった。それでも、新しい発見をするにはどうすれば良いかの話は良く分かった。つまり発見は偶然だが、その偶然は必然の中から見つかるもの、というものだ。江崎さんは、それまで知られていた必然の現象を利用しているとその現象に例外があることを見つけ、それがトンネル現象としてノーベル賞をもらったのだ。

 最後に今回のイベントで得られたものは本当に大きかったと思う。やはり僕はニュートリノとかを見つけたりするより、何か自分の手で作る仕事がしたいと思った。

5年

すばる

赤方偏移

 観測した光のスペクトルから光源の距離を求めることが出来る。宇宙の膨張による光源の運動で、ドップラー効果の要領で波長が長くなる。これが赤方偏移である。遠い天体ほど、高速で運動しているのでスペクトルを計測するとその天体の速度がわかり、距離も求められる。すばるが観測した最遠の天体は赤方偏移6.6で、距離にして128光年である。このことはギネス記録にも登録されており、観測された遠い天体の上位10個のうち、9個がすばるによる発見である。また、遠い天体からの光は届くのに時間がかかる。ということは「遠くを見ることは昔を見ること」である。宇宙考古学という分野を考えるのに、極めて重要な資材を提供しているということである。

補償光学

 口径の大きい望遠鏡は大気の揺らぎの影響を受けやすく、優良な画質を手に入れるのに、高い技術が必要とされている。このことは、水中から外の景色を眺めるのと同様に考えることが出来る。すばるは口径が8.2mもあり、何もしない場合、0.6秒角程度に天体像が広がり、話にならない。補償光学とは、この揺らぎの影響を1秒間に2000回(記憶は定かではない。)、基準星から計測して修正する光学技術である。すばるの場合、鏡を300本ものロボットアームで操作して、揺らぎを修正している。この技術により、非常に鮮明な画像(コントラストが大きい)を手に入れることが出来た。遠くて暗い天体を観測する際、この技術によって観測可能な範囲が広まっている。また、土星の衛星が別の衛星の前を通過するのを観測する際に、その衛星の濃い大気を確認できたのも、この技術による、鮮明な画像の恩恵である。更に、この技術の威力を倍に引き立てる技術がある。ナトリウムレーザーガイドというものだが、簡単に言うと大気の揺らぎを計測するための基準星の代わりに、それをレーザーで作るというものである。

カミオカンデ

電荷を持つ素粒子の観測

 物質中を、荷電粒子がその物質中の光速を超える速度で運動するとき、発光する。(チェレンコフ効果)音速を超える速度で物体が運動すると衝撃波が発生するのと同様な現象ではないかと我輩の勘が囁いているのだが、とりあえず、この現象を利用する事によって荷電粒子の観測が可能である。直接粒子を見ているわけではないが、このチェレンコフ光を光電子増倍管で検出すると、その光の進行方向、発生源(荷電粒子)の位置がわかるということである。素粒子の大部分は電荷を持っているのでこの手段で観測可能である。ただ、ニュートリノの場合、電荷を持っていないどころか、非常に小さな質量しか持っておらず(その昔は、ニュートリノの質量は0とされていた。実際はそんなことはない。)他の粒子・物質に、全くと言っていいほど影響を及ぼさないので、観測は不可能とされていた。実際も、毎秒、無数の太陽ニュートリノが身体を文字通り、通り抜けているわけだが、何も感じないし、害も無い。ただ、実際にはニュートリノは他の物質に全く影響を及ぼさないわけではなく、その確率が極端に低いだけである。もし、ニュートリノが荷電粒子に仕事をすると、上の要領で観測が可能になる。ちなみに、カミオカンデは用紙崩壊を観測しようとして建設したものである。アメリカも似たようなことを始めたが、全く同じことをやると、経済力のあるアメリカが勝つのが一目瞭然だったので、精度を高めてニュートリノにも対応できるようにした結果が、ノーベル賞である。光センサーの大きさと精度を極めて、また、僅かなひかりも減衰しないように、水の純度も高めたのが奏功したのである。

 ニュートリノの質量≠0

 量子力学によると、ニュートリノ振動は、ニュートリノが0でない質量を持つときにしか起こり得ない事である。また、他にニュートリノの質量が左右する問題として、宇宙がこのまま膨張を続けるのかあるいは収縮に向かうのか、要するに宇宙全体の質量のことがある。

4年

 今回世界物理年秋のイベントでは、セッションA、B、C、小柴さん、晝馬さんとのディスカッション、そしてポスター展示会を見学しました。セッションAでは、すばる望遠鏡開発へのプロセスとその望遠鏡によって何が分かったか、についていろいろ聞きました。その後の小柴さんと晝馬さんのカミオカンデについてや、それまでの苦労や経過を聞きました。そのあとすぐ小柴さんの、ディスカッションを聞きに行きました。小柴さんはかなり近くにおり質問しようとしたりしても緊張してなかなかできず、いざ質問できても、半端に高尚なことを言おうと無理したせいか、言いたいことが伝わらず、聞きたいことが素直にいえませんでした。本当に後悔しています。このことから、素直に純粋に疑問をぶつければいいのだなと感じました。しかし質問できたことはできたのでまあいいかなとは思いました。

 また質問したことで「人の目を気にして、考えるようでははたしてこれからずっと研究していけるのだろうか?」と、はじめて科学をやっていこうと志しているなかでで悩みました。まあ結論としては、まだ分からないけど、向いてる、向いていないで諦めるようじゃどうしよもないということが分かったので、志がどうこう変わったわけじゃないです。ただいえるのは、やっぱり小柴さんの一言一言が、確実な重みを持って伝わっていると感じたことです。やっぱり大きく感じました。

 最後に、変な文になりましたが、このイベントに参加して、いろいろ考えさせられました。この参加がこれからどのようにして、自分に影響するかは、分かりませんが、現実の中の科学研究というものを感じることができたと思います。楽しくて不思議だけではなく、あくまで非常に現実的な科学というものを知ることができたと思います。そしてこのイベントに参加しなければ、考えることもなかったものを考えさせてくれたことはすごく価値があったと思います。自分の心境はともあれ、内容としては非常に充実しており、ポスター展覧会においても一つ一つく、実際に「研究」している物のすごさを体験できました。楽しいイベントでした。

5年

 恥ずかしながら、今回、生まれて初めてあのようなイベントに参加した。その上、小柴先生や江崎先生といった日本にとどまらず、世界でも著名な方の話を聞けたというのは僕には非常に大きく意味のあることだった。

 イベントに参加して、様々な最先端を体感し、諸先生方の様々な経験を聞くことが出来た。本来ならば、「見た技術」や「感じた技術」などを書くべきなのだろうが、今回はそれらとは全く違った視点でレポートを書いてみようと思う。

 今回たくさんの方の話を聞いて「意外」と何度思ったか分からない。モチロン様々な技術などにも思ったが、先生にも意外性を感じた。片や講演会には不似合いなくらいユーモラス溢れる先生、片や”本当”の講演会をする先生。本当に「意外」の連発だった。先端技術や学問を学ぶよりも、僕にはまだまだ場慣れの方が必要かもしれない。しかし、何事も面白く喋れるというのはその人の持つ一つのセンスなのだろう。

 それから、たくさんの発見や成功の裏に隠された「意外」。失礼な言い方だが、小柴さんが小児麻痺を患っていたことや、財団設立への多大な努力などは正直「意外」だった。なに不自由無い生活をし、”有名人”を最大限に使って財団をヒョイと立ち上げる、といったエリート的なストーリーを勝手に自分の頭の中に描いてしまっていた。こんな自分が情けなかった。

 こんな言い方をしたら大袈裟で間違っているのかもしれないが、今回参加して、「物理」以上に僕自身が人間として成長した気がする。努力を惜しまない事、また、楽をする事。それから、真実を見極める事。まさかこんな事を教わる事になるなんて夢にも思っていなかった。しかし、実際これらはどれも難しい事ばかりである。100%を目指すなんでもしかしたら無謀な事なのかもしれない。

 しかし、まさに“やれば、できる”だと思う。これらを自ら出来るようになるためのエッセンスがこの言葉には詰まっていると思う。普段何気なく使っている言葉ではあるが、少し視点を変えてみると、非常に興味深い言葉のように思える。このような言葉を以って、もっと自分と世界を見つめていきたいと思う。

6年

 10月15日、私達は東京の世界物理年秋のイベントに行ってきました。出発の前は、事前学習等であっと言う間でしたが、その代わり、基本はもちろん詳しい知識を得て講義に望めました。

 講義では、ノーベル賞を受賞されたお二人の先生をはじめ、それに並ぶ功績を残す専門家のお話を聞くことができました。一番記憶深いのは、江崎玲於奈先生の講演でした。先生は「分別力は年をとるにつれて付くが、想像力は若いほど豊かである。だから、いつでも限界に挑戦するべきだ。」と教えて下さいました。また、ノーベル賞の取り方と題して、難関突破をする大事さもお話しされました。私は、3メートルも離れていない最前列で講演を受け、挑戦に対する熱い思いを感じることができました。

 セミナーでは、ニュートリノをはじめて捕らえたカミオカンデを建設された小柴昌俊先生と盡島先生のお話を質問を交えてお聞きしました。大きな光学計測器を作る苦労から、スーパーカミオカンデの現状や、今後計測結果が気になる話ばかりでした。海外に劣らない日本企業の技術が感じられました。

 特別展示では、情報を光ファイバーを使って遠くへ正確に送る工夫や温度調節をすることで性質を変化させる半導体を見学しました。これからの時代は、世界の新しい情報をいかに早く手に入れ活用するかに重点を置くかだそうです。テレビでしか見たことがないペンシルロケットも実際に目にすることができました。

 このイベントで、私は科学の本質に触れることができたように感じます。アインシュタインが3つの論文を発表してから100年、科学は大きな進歩を遂げました。これから100年後、電気に代わる物質が見つかり、生活は大きく変わると思います。今こそ科学を究め、技術を活かさなくてはいけない。セミナー終了後、小柴先生にいただいた「やればできる」という言葉を胸に、勉強を頑張っていきたいです。