| (1) 目標 | (2)授業の流れ | (3)なぜMathematica か? |
| (4)ツールの使用方法 | (5)考察 |
[1時間目]
y=sinx,y=cosx,y=tanxのグラフを,三角関数の定義に基づいて点をプロットする事
でグラフ用紙に描く.
[2時間目]
y=2sinx,y=sinx+2,y=sin2x,y=sin(x-60゜)のそれぞれのグラフを予想して描いて,Mathematica で確認する.その後,いろいろな三角関数の式を入力してグラフを描き,y=sinxとの関係を探る.生徒の描いたグラフはFDで回収する.
[3時間目]
生徒が考えたグラフをプリントにして戻し,y=asinb(x-c゜)+d・・・(*)とy=sinxの関係をまとめる.
1 grph[Sin[0.5*x]];
3 grph[{3*Sin[x],Sin[x]}];
4 grph[Sin[-x]];
6 grph[3*Sin[x-60*Degree]+2];
14 grph[Sin[x]*Sin[x]];
44 grph[Sin[2*x+60*Degree]];
57 grph[Sin[x]+Sin[2*x]];
74 grph[Sin[x]*Cos[x]];
75 grph[Sin[x]+Cos[x]];
79 grph[{Sin[Sin[Sin[x]]],Sin[x]}];
[4・5時間目]
(*)以外の形をした式でも,グラフがサインカーブになっている理由を,合成公式,倍角・半角の公式を導いて理解する.上のグラフでいえば,
14 grph[Sin[x]*Sin[x]]; 74 grph[Sin[x]*Cos[x]]; 75 grph[Sin[x]+Cos[x]];
である.
また,それ以外の
57 grph[Sin[x]+Sin[2*x]]; 79 grph[{Sin[Sin[Sin[x]]],Sin[x]}]
などについては,軽く触れるだけにとどめた.
以前にBASICでプログラムを組んで,同じような授業をしたことがある.そのときは,
y=asinb(x-c゜)+d・・・(*)
においてa,b,c,dの値を入力させてグラフの変化を観察し,(*)のグラフとy=sinxのグラ
フの関係を調べさせた.つまり,金槌型ツールを作成したわけだ.この方法だと,
次のような長所,短所があると考える(もちろん,これらは互いに裏返し).
[長所]
・入力が簡単
・変な(?)グラフが現れずに,雑音が入らない
[短所]
・関数の式を,教師の方で(*)の形に限定してしまうことになる
・発想が限定されて,授業が収束して面白くない(?)
これに対して,Mathematica (大工型ツール)を用いた際は,
[長所]
・関数の式を,(*)の形に限らず自分の考えたとおり入力できる
・自分の思い通りの式を入力すれば,コンピュータがグラフを描いてくれるの
で,いろいろな発想がでて授業が面白くなる
[短所]
・式を全部タイプしなければならないので,入力が面倒
・変な(?)グラフが現れて,雑音が入る
となる.
これらは,いずれも大工型,金槌型ツールの特性である.もちろん,大工型ツール を金槌型ツールとして使用することもできるが,今回のMathematica を利用した実践 ではすべて大工型で通した.それは,これらの特性や,実際に生徒が使ったときの 感想から,大工型ツールの方がコンピュータを道具として使っている実感が強いと 考えるからである.
Mathematica の三角関数の単位はラジアンであり,数学IIの三角関数の単位は度であ る.したがって,x軸を30゜単位で目盛りを切るためにちょっとした細工が必要にな る.また,今回の学習目的では定義域などには気を使わない方がよく,グラフの線 の太さを変えて描くためにgrphという関数を定義する.
次のような命令をかいたファイルを用意しておく.このファイルを読み込んでか ら,文のどこかをクリックしてenterを押すと,lで目盛りが用意され,grph[f_]でグラ フを描く関数が用意される.
l={Flatten[Table[{{t Degree,t},{t Degree+30 Degree,""},
{t Degree+60 Degree,""}},
{t,-360,540,90}],1],
Automatic};
grph[f_]:=Plot[f,{x,-360 Degree,540 Degree},
PlotStyle->{{Thickness[.01]},{Thickness[.005]},
{Thickness[.003]}},
Ticks->l,AxesLabel->{"x degree","y"}];
そして,次のように入力すればグラフが描かれる.
grph[{Sin[x],Sin[x]+1,Cos[x]}]; ←生徒はこの部分を入力
←グラフが描かれる
生徒が(*)のような式だけではなく,思い思いにいろいろな式を入力していたのは上で見たとおりである.
授業をした生徒たちは,中学3年生のときにMacintoshでSKETCHPADを利用した幾何の課題学習を経験している.そのための慣れはあるだろうが,ほとんどとまどわずにMathematica を使っていた.定義域の入力やその他の細々としたことに気を使わないようにしておけば,生徒はちゃんと2人で相談しながら入力して進めていく.
入力する式を限定しなかったので,三角関数の合成や倍角・半角の公式の導入にな
る関数が現れたのがよかった.