SKETCHPAD(動的幾何学のための作図ツール)
Mathematica(数式とグラフ処理システム)
あなたは,1996.5.14.より 人目のお客様です.改訂
−生徒自らが数学を学び、発見する−
実際に数学を教えていて,次のようなことを感じることがある.
もちろん,数学では基礎・基本をマスターするときには,教師が教え込むことも必要である.しかし,教授内容が多いことから教師の教え込みが続き,生徒が「数学する」(自主的に数学を学ぶ)ことが少ないのが現実である.つまり,
というのが,従来の典型的な授業であり,学力観であった.
これに対して,
というのが新しい授業であり,新しい学力観であると考える. このような授業のキーワードは,インタラクティブ(interactive:対話的,相互作用的)である.つまり,先生と生徒,生徒同士がインタラクティブな数学的活動を行う授業が新しい学力をつくる.
マルチメディアとは,「文字,音声,画像,動画などを統一的に扱うメディア技術」であるとされる.もっと端的に言えば,「デジタルな情報を統一的に扱うメディア技術」である.
文字,音声,画像,動画の共存だけなら,すでに映画やテレビで実現ずみである.しかし,これらのメディアはアナログだから,受け手は情報を受け取るだけである.それに対して,マルチメディアはデジタル情報だから,受け手がコンピュータを使って情報を加工することができる.マルチメディアの特徴とされるインタラクティブも,デジタル情報をコンピュータで扱うところからくるのである.
上でみたことから,インタラクティブな数学的活動を行うには,コンピュータが役に立つ.本稿では,必要なときにコンピュータが手軽に使えるマルチメディア学習環境において,コンピュータを道具として数学することを考える.つまり,生徒が実験をする,仮説を立てる,仮説を検証する,考えを深める,納得する,結果を拡張・一般化するための道具としてコンピュータを利用するのである.
いままで長い間,人間は紙と鉛筆,定規,コンパスを道具として数学してきたが,そこにコンピュータが加わる.私は,コンピュータを道具として数学するためのソフトウェアをツールと呼び,ツールには次の2種類があると考えている.
大工型・金槌型ツールを用いると,簡単にグラフを描いたり,複雑な計算をしたり,図形を動かしたりできるので,「もし,こうすればどうなるだろう?」という考えも自然に出てくる.したがって,コンピュータは,生徒が主体的に試行錯誤しながら課題を解決し,拡張・一般化する際の強力な道具となる.また,ツールを利用して数学すると,授業はいろいろな方向へ広がっていく可能性がある.「どうなるのだろう? これは一体なんだ?」と悩み,楽しみながら数学する事ができる.
Mathematica やSKETCHPADなどをツールとして使うことで,生徒がこのような体験を数多くし,わかりきった数学,できあがった数学,答えが1つしかない数学とは違う数学があることを知って欲しい.そして,生徒一人ひとりが自分なりに数学し,自分なりの数学を創り出していくことで,数学自体が持っている魅力,素晴らしさ,面白さを感じる新しい授業が構成される.