選択物理 - 授業の概要と進路について
トップへ
1.物理とは
 理科の教科は、物理・化学・生物・地学の4つの分野に分けられていますが、その中で物理は、自然科学全体の基礎となる分野です。基礎的な分野というのは、概して簡単に理解できず、学習するのにずいぶん時間がかかるものです。物理も例外ではありません。しかしながら物理は、いったん理解できると、いろいろな方面に応用をきかせることができます。そして、覚えておかなければならない事項は少なくてすみます。
 物理は、さまざまな自然現象を解析し、解明していく教科です。一見複雑に見える現象も、解析していく中で、いくつかのごく単純な法則に基づいていることが分かってきます。そして、一般にその法則は万物に対して適応でき、故に物理が扱う自然現象は、ミクロなレベル(電子、原子、分子、光子など)から、マクロなレベル(惑星、銀河、ブラックホール、宇宙など)まで幅広いものを対象とします。
 一方、物理では、量を問題にすることが多いので、数学をよく使います。上で述べた法則も一般に数学で記述されます。従って、物理学においては、数学を扱う能力がある程度必要です。しかしながら、高校物理においては、その能力以上に、現象を理解するための言語能力や想像力が重要となってきます。そして、それらを通じて、様々な現象の中から、法則をいかに発見し、応用していくかが物理学を学ぶ鍵となります。

2.授業の概要
 本校の授業では、実験を重視ししていますが、高校の選択物理でも、多くの実験を用意しています。自然の法則は、ことばだけで学ぶのではなく、自然そのものから学習するのが本来のあり方であるからです。
 選択物理では、物理的思考を重視した授業を展開します。授業の内容をノートに写し、理解するだけでなく、授業中や日常生活で生じた疑問などを自由にぶつけ、ディスカッションすることも重要です。そのための時間を設けていますので、おおいに活用してほしいと思います。 
 物理の入試問題は、日本では計算問題が多いのですが、他の国では、たとえば「光の性質について述べよ」といった論述問題があったりします。最近は、日本の大学入試でも基礎的な概念や法則をきちんと理解しているかどうかをチェックするテストが増加しつつありますし、そのための入試問題の研究も行われています。
 高校での選択物理の内容は、大きく分けると、力学・熱・波・電磁気・原子の5つです。力学は物理学全体の基礎であり、力という概念を中心に、様々な物体の運動を解析、記述していきます。基礎であるがゆえに、物理を学ぶ上で非常に重要な意味を持ち、5年の物理の中心となる内容です。波は、一般に波動と呼ばれるものであり、字のごとく波の運動について学びます。電磁気は、電場、磁場という2つの場を導入し、その特性や、この2つの場の伝わる波、いわゆる電磁波について学びます。これは、ある程度の抽象的能力が必要なため、6年で学習することになります。最後の原子では、現代物理学(20世紀以降)について学習します。有名なアインシュタインの相対性理論や原子核エネルギーなどは、ここで学びます。
 2年間で様々な自然の法則を学ぶわけですが、それらの法則を丸暗記するのでは意味がありません。この現象はどう説明できるのだろう、この法則とこの法則のつながりはなんだろう、などの好奇心や探求心が、科学的思考をはぐくみ、自然を、ひいては物理を理解するのに一番役立つことを忘れてはなりません。

3.大学受験・進路に関して
 物理系の進路として、物理を学問的に深く研究する方向と、物理学を使った応用を研究する方向と2つに分かれます。前者は、主に理学部の物理学科が相当し、後者は主に工学部が相当します。
 理学部の物理学科では、高エネルギー物理学、物性物理学、宇宙物理学など、物理学を基本とした様々な研究がなされています。現在の最先端技術の多くは、これらの研究で得られた学問成果を応用したもので、特に工学の基礎研究分野として大きな役割を果たしてきました。
 工学部は、機械工学科、エレクトロニクス工学科、電気工学科、土木工学科、建築学科などの専科が挙げられ、物理学を応用し、社会に役立てるためのインターフェースを生み出すところです。ただし、応用するには基礎的な物理学を修得する必要があり、大学にはいってからも物理学の履修は、大きなウェートを占めることになります。
 最近では、理学部系と工学部系の中間的な学部が増え、基礎研究と応用研究の融合が急速に進んでいます。応用物理学部、環境工学、情報工学、ナノデバイス工学、先端物質科学などがそれにあたります。
 また、理学部や工学部の中には他にも、化学科、地球惑星学科、生物学科などがあります。例えば、化学は物質の性質を研究する分野ですから、その基礎は物理学です。地球惑星学科は、例えば、惑星の運動やスペクトル解析など、物理学とは決して切り離せない内容です。また、医療系のX線学科なども物理学を基礎としています。その他の学部・学科でも物理を必須としているところがあります。このような進路を進む人は、高校で必ず物理を選択しなければなりません。
 ただし、理科系であっても、入試で物理をとらないでよいところもあります。理学部、農学部、薬学部、医学部において、そういうところが多いです。この方面の進路をとる人にとっては、化学・生物の選択でじゅうぶんですが、大学では物理を学ばなくてはなりません。従って、これらの人は、物理を高校で学ぶか、大学で学ぶかの選択になります。しかしながら、大学受験がひかえていますから、物理が得意である場合以外は、高校で物理を選択しない方が無難です。

4.科目選択上の注意
 高校物理は物理Tと物理Uで構成され、センター試験は物理Tから出題されます。各大学が実施する2次試験は、理系の学部であれば、通常、物理Tと物理U両方から出題されます。シラバスに掲載しているとおり、本校の物理では、5,6年の2年間で、物理Tと物理Uを合わせて学習することになります。つまり、物理選択に関しては、2年間の継続履修が前提となります。
 物理を理解するには、物理の学習にかなりの時間と精力を費やすこととなります。従って、いいかげんな気持ちで選択し、自学自習を怠っていると、授業についてこれなくなります。近い将来、物理が必要ないと考えている人は、特に物理が好きだとか、得意だとかいう場合を除いて、選択しない方がよいでしょう。理系であっても「物理を修める」という強い意志がないと、長続きしないことが多いです。よく考えて選択するようにしましょう。




1.物理とは
2.授業の概要
3.大学受験・進路に関して
4.科目選択上の注意