§ 3つのフィールド

 本プログラムの特徴は、地域社会の変革を促すという点にあります。その意味で本プログラムは普遍性を持ちますが、先行的に行う場合は、できるだけその効果を検証しやすい地域で実施すべきであると考えました。
 奈良で実施する優れた点は以下の3点です。

 奈良はコンパクトに歴史、文化、そして中心市街地、住宅地等を凝縮させています。その中心に奈良女子大学が所在するため、様々な地域社会が大学から徒歩圏の範囲内に位置しています。本プログラムでフィールドとする、ならまち、商店街、きたまちは、性格の異なった三地域です。このような特徴的な地域に学生が関われるのは、奈良というコンパクトな市街地とその中心部に大学が位置しているという他では得難い特性によるものであると思います。

 また奈良は、日本の伝統的な文化を保持した地域であるため、地域の再生という視点から見た場合、よい点と悪い点を包含しています。伝統に基づいた可能性があるという点では優れていますが、そのような地域は往々にして変革を避けがちであるともいえます。

 更にこの地域の生業・環境維持等において女性が果たしている役割は小さくなく、注目すべき女性起業家も存在します。

奈良市の伝統的市街地は、「ならまち」と「きたまち」からなる。興福寺西側に広がる地区が「ならまち」と呼ばれる地区で、伝統的な町家が集積する。地域貢献特別支援事業で設置が決まった「奈良女子大学セミナーハウス」もここに所在する伝統的町家である。一方、「きたまち」は、東大寺西側に広がる地区の通称で、奈良女子大学もここに所在する。伝統的な戸建て住宅が多く、「ならまち」と性格が異なる。また奈良市の伝統的市街地には 8つの「商店街」があり、本学はその北端に位置している。


 

 

 

 §商店街  §ならまち  §きたまち
古くからあるもちいどの商店街、春日大社への参道だった三条通など奈良の商店街は歴史が深い。老舗が多い一方で新しい店も進出していて、幅広い年齢層に利用されている。 8世紀に栄えた平城京が衰退したあと、江戸時代に元興寺を中心につくられたまち。住宅・店舗・資料館等が混在しつつ、古くからの格子の家が並び、美しい町並みをつくっている。休日は観光客で賑わう。 古くから東大寺郷として、また京都からの玄関口として、旧奈良街道の街道筋を中心に商工業や旅籠が栄えた。奈良時代の転害門など歴史遺産や伝統的な民家が数多く残っている。
これら商店街に奈良市も参加し中心市街地活性化研究会を作っている。これらの組織と定期的に懇談を行っており、今回のプログラムも、商店街、研究会 とともに取り組んでいる。 奈良女子大学セミナーハウスを開設することになり、所有者、奈良市とすでに合意している。またちづくりに取り組む地域の人々とと連携して、このセミナーハウスを拠点に、ならまちの活性化に取り組む協議を進めている。 これまで、設計演習Ⅳや測量学の授業を通じて、地元市民組織と連携し、地域保全・活性化の提言を行ってきた。現在、地域内にある旧銀行の建物及び大門市場の再生プロジェクトを当該二科目において、地元市民組織と協議しながら進めている。

 

 
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