歴史の道

 

 歴史の道は1972年に奈良市が定めたハイキングコースである。今回はウワナベ古墳と秋篠寺のコースに注目する。これは約9kmのコースである。このコースには西大寺、秋篠寺、神功皇后陵、八幡神社等がある。西大寺は真言律宗の根本道場で、中興の祖叡尊が広めた大茶盛式が有名で、かつて東大寺に匹敵するほどの大伽藍を誇っていた。国宝・重文も多く見どころがたくさんある。秋篠寺は木造技芸天像で有名。苔で覆われた境内はひっそりと静寂な雰囲気に包まれていて心落ち着く空間である。本堂は国宝として有名である。また、道の途中からは若草山を見ることができるが、途中に電信柱や看板、道路標識があり、それが邪魔をしてきれいな若草山がよく見えなくなっている。

 

 途中には大安寺というお寺がある。このお寺は奈良時代から平安時代前半にかけて東大寺、興福寺と並ぶ大きな寺であった高野山真言宗の寺である。開基は聖徳太子である。癌封じという癌を封じる祭りや弘法大師を供養する正御影供や弘法大師誕生法要など聖徳太子由来の祭りや供養がたくさんある。このお寺の景観はとてもきれいで近くに八幡神社もあるのでぜひ立ち寄ってほしい。

 

とちゅうの川は三面張コンクリートとなっていて景観としてあまりいいとも言えず、また、生物に対してもいいとは言えない。他にも、昔は名高かった川が地面の下にもぐらされているなど、観光事業をこれから売り物にするつもりならあまりよくないことだろう。

 

歴史の道では道路の横を歩くことになり、横を車が通るので大変落ち着かず危険である。奈良市が本気でこの歴史の道を観光事業の目玉にしようとしているなら、伊勢神宮の参拝歩道のように道幅を広くとり両側に店を並べたり、由緒ある建造物などには分かりやすい説明書をつけそこを通る人々が理解を深めれるようにするべきだろう。それに、車椅子の人やその他の身体障害者の人にとって歩きにくい危険な道となっている。このような人々のためにも道路を整備し、歩道を広くするべきだ。

ほかにも、歩く道筋にいろいろな問題点がある。歴史の道の標識が昔に作られたからなのか小さすぎるし立つべきところ(道の角などどちらに行けばいいかわからないところ)に立っておらず、立たなくてもいいところ(一本道の途中)に立っていて大変迷いやすくなっている。書いてある文字が読めないこともあり、迷ってしまう。

このように奈良県は観光事業に従事しようとしているわりには対応がよくない。だが,これからどのようにかわるのか期待している。