<フォーラム概要>
・『ご挨拶』
今岡春樹(奈良女子大学 学長)
内田忠賢(奈良女子大学 社会連携センター長)
・『地方創生の現状と課題、奈良県を中心に』
中山徹(奈良女子大学 研究院生活環境科学系 教授)
全国の自治体が人口ビジョン、総合戦略を作成しています。今回は以下の点について報告します。@人口減少の将来予測、A人口が大幅に減少する中で、市町村はどのような総合戦略を立案しているのか、Bそもそも地方創生をどのように考えたらいいのか、C総合戦略を成功させるためには何が必要なのか。
・『伝統的木造建築物の耐震性能評価と補強設計について』
瀧野敦夫(奈良女子大学 研究院生活環境科学系 講師)
日本に数多く現存する伝統的な木造建築物は国宝や重要文化財などの文化財指定を受けているものが多い。地震国である日本において、これらの建物を安全に活用し続けるために、近年では文化財の耐震補強工事が徐々に実施されつつある。しかし、これらの建物は建設年が非常に古いこともあり、その耐震性は不明な点が多い。本報告では、当研究室が関わった既存寺院の耐震改修工事の事例を紹介し、耐震性能評価や補強構法などの具体的な事例について紹介する。
・『薬業の先進地 奈良:享保期の和薬種国産化政策と森野薬園』
野高宏之氏(奈良県立大学・地域創造学部 教授)
奈良県立大学は「奈良の再発見」を通じて日本と世界に貢献することをかかげている。歴史から奈良をみて痛感するのは「奈良には古代史しかない」ことである。中世や近世は市民の意識から欠落している。中世や近世の奈良に光をあてることが「奈良の再発見」につながると考える。その事例として宇陀市にある森野旧薬園を紹介する。森野旧薬園は現存する最古の私立植物園である。江戸時代、八代将軍徳川吉宗は薬種の国産化政策を推進した。その際、森野薬園は内外の薬草の栽培試験場として重視されたのである。
・『南都銀行 公務・地域活力創造部の地方創生に対する取組みと奈良県内の総合戦略について』
澤村弘氏(南都銀行 公務・地域活力創造部)
・『産業が育む生物多様性−滋賀・奈良での事例−』
遊佐陽一(奈良女子大学 研究院自然科学系 教授)
現在,生物種の絶滅速度は,地球上に生命が誕生してから最も早いのかもしれないが,その絶滅の原因は人類にある。したがって,人間活動は,本来生物の保全とは相対するものであることが多いが,そうでない例もわずかにある。今回は,農業や工業といった産業を通して生物多様性を育む取り組みについて,近隣の先端的な例を紹介し,自然の中でわれわれがどう生きていけばよいかについて考えてみたい。
・『奈良県十津川村の災害を契機とした新たな村づくり』
室崎千重(奈良女子大学 研究院生活環境科学系 講師 )
2011年の紀伊半島大水害により、奈良県十津川村は大きな被害を受けた。人口減少と少子高齢化が進む村では、被 災からの復興と併せて将来を見据えた新たな村づくりを進めつつある。広い村の中で、高齢者の居住を支えるしくみづくりや、定住移住の 促進を視野に入れた集落づくり、村の芯づくりが進められている。研究室で2年間関わってきた谷瀬地区の集落づくりを事例として、十津川村の生活実態と新たな集落づくりの取り組みを 紹介する。
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