<公開講座の様子/平成28年 6月18日>

『講座名』 「奈良墨の研究」
『講  師』 宮路淳子(奈良女子大学教授)
       松尾良樹(奈良女子大学名誉教授)
       六車美保(奈良女子大学博士研究員)
       的場美帆(奈良女子大学博士研究員)


『公開講座風景写真』


本学では、「タンパク質考古学創始事業」などで、墨をテーマにチームを作って研究を行ってきました。これまでも何度か講座やシンポジウムを行ってきましたが、今回は特に、江戸時代から現代にいたるまで途絶えることなく墨を作り続けてきた古梅園の資料を中心とした調査・研究についての講座でした。
墨について、古代の出土品などからみた歴史や、古梅園の資料などから見る、天皇家との関係、和歌などを通じてみる墨、墨の材料の1つである膠からみる江戸時代の国際交流、古梅園が研究対象としても集めた古墨コレクションなど、様々な角度からの報告がありました。墨を通じて、いろいろな歴史や世界が広がっていくようでした。


『受講者アンケートより』


・古梅園の近くに昨年引っ越してきました。昔からの製法で墨作りをされている唯一の墨屋さんと知り、詳しく知りたいなぁと思って参加しました。墨の歴史、墨には多くの種類があること、墨の材料など初めて知ることばかりでした。墨の奥深さに興味がでました。以前に習っていた書道を始めようと思っていたところに、この講座を受講して墨についても知った上で字を書くことの大切さを感じました。
・古梅園の重要な地位について理解が深まりました。古梅園以外の墨製造はどうして衰退したのでしょうか。疑問として残りました。
・今回まったく予備知識が無い状態で参加させていただきましたが、古梅園の活動をベースに多方面からの視点での研究を大変興味深く聞かせていただきました。又、講座の機会を期待します。



『学生記者より』


【学生記者 太田麻友さん】
普段はあまり親しむ機会の少ない「墨」でしたが、この公開講座に参加して、墨作りがいかに奥が深いものなのか、そしてそうやって作られた一級品の墨がいかに当時の有力者を魅了したのかということに大きな感動を覚えました。初めて奈良に来たときは、周囲を山に囲まれた奈良の街並みに国際色を感じることはほとんどありませんでしたが、奈良墨の老舗・古梅園さんの墨ははるか昔から山を越えて京都や大阪、江戸、長崎そして海を越えて中国大陸ともつながっていたのです。奈良に住んでいる4年間を存分に生かして、奈良墨のような外から 見たのでは分からない奈良の文化の広がりを様々な局面で感じることができればと思いました。

【学生記者 金倉茉美さん】
奈良の老舗、古梅園を中心に奈良墨についてしっかり学べました。先生・研究員の方のお話しがとても分かりやすく、奈良に住んでいる身として知っておいてよかったと思うことばかり。参加者の方々の雰囲気も良く、3時間強の講座があっという間でした!


 
 作成・管理:奈良女子大学社会連携センター