奈良女子大学・近鉄文化サロン阿倍野連携<共催講座>


 平成29年4月に株式会社近鉄百貨店と共同で文化事業を実施するための協定を結びました。その協定に基づき、共催で講座を開催することになりました。平成30年度前期は、文学部人間科学科心理学コースの天ヶ瀬正博教授による全5回の連続講座を開催いたします。興味のある講座1回単位でも受講することができますが、連続して受講することでより理解が深まります。


ヨーロッパ・ロマン派芸術を導いた心理学
 −近代ヨーロッパ芸術の理解と鑑賞のために−

 芸術活動には、宗教や人間観や社会観などの思想が伴います。本講座では、まず、18〜19世紀のヨーロッパの様々な心理学説を社会状況や時代背景に基づいて解説し、芸術を刷新したロマン派が実はそれらに多大な影響を受けていたことを示します。そして、宗教、心理学、社会という観点において、ロマン派に関連する絵画と音楽の様々な作品の理解と鑑賞を試みます。

【第1回】
 開講日時 2018年 5月12日(土)10時30分〜12時
 題  目 ロマン派芸術を導いたアダム・スミスたちの心理学
      −友愛が世界平和を実現する−

【第2回】
 開講日時 2018年 6月 9日(土) 10時30分―12時
 題  目 ドイツの文豪ヴォルフガング・フォン・ゲーテの心理学
   −光と闇、若きウェルテル、そして、色彩に満ちたこの世界−

【第3回】
 開講日時 2018年 7月14日(土) 10時30分―12時
 題  目 フランケンシュタインと自動人形の心理学
      −英独それぞれの霊魂の科学者たち−

【第4回】
 開講日時 2018年 8月11日(土・祝) 10時30分―12時
 題  目 ロマン派絵画、心理学思想からみたその展開
      −ドラクロア以前からゴッホ以後(20世紀初頭)まで−

【第5回】
 開講日時 2018年 9月 8日(土) 10時30分―12時
 題  目 ロマン派音楽、心理学思想からみたその展開
      −ショパン以前からマーラー以後(20世紀中葉)まで−

・講  師 天ヶ瀬正博
(文学部 人間科学科 心理学コース 教授)

・会  場  近鉄文化サロン阿倍野
        (大阪市阿倍野区阿倍野筋2-1-40 and4階)


・受 講 料  全5回 会員:5,940円、一般:8,100円
       ※1回単位でも受講できます。
         会員:各1,188円、一般:各1,620円


<お申込み・お問合せ>
  近鉄文化サロン 阿倍野
      ・〒545-0052 大阪市阿倍野区阿倍野筋2-1-40 and4階
      ・TEL 06-6625-1771
       (受付時間)9:45〜20:00(日曜・休講日は9:45〜17:30)
        ※休講日 4/29(日・祝)〜5/5(土・祝)、8/12(日)〜8/16(木)、8/31(金)、
             9/29(土)、9/30(日)
        ※8/13(月)〜8/15(水)は受付業務はお休みです。

<講座概要>

【第1回】
ロマン派芸術を導いたアダム・スミスたちの心理学
  −友愛が世界平和を実現する−

 ロマン派は、18世紀の啓蒙運動の理性主義に反発して、感情を重んじたと言われます。しかし、啓蒙運動は、科学を称揚する一方、共感という感情を重視しました。例えば、経済学説で有名なアダム・スミスは、共感性から道徳心の形成そして世界平和への道筋を構想しました。そのような心理学思想がロマン派に受け継がれたのです。


【第2回】
ドイツの文豪ヴォルフガング・フォン・ゲーテの心理学
  −光と闇、若きウェルテル、そして、色彩に満ちたこの世界−

 フォン・ゲーテはヴァイマル公国に務めながら、人間精神と相即不離の自然を研究しました。彼の文芸は、自然と精神を相即不離とする思想(心理学)、その人間観や世界観の表明として見ることができます。ドイツ連邦のロマン派芸術は、フォン・ゲーテの思想とカントの思想を受け継ぎ、観念論と共に特有の展開を示すことになります。


【第3回】
フランケンシュタインと自動人形の心理学
  −英独それぞれの霊魂の科学者たち−

 1818年、20歳のメアリー・シェリーによる『フランケンシュタイン』の発表は、民衆にキリスト教を疑わせる歴史的事件となりました。死体の新鮮な部分の継ぎ合わせで人間が誕生し、言葉を学び、自我に目覚めて愛を求める。この物語が示すのは人権と市民社会の原理を築くための心理学理論でした。ドイツ連邦では、それとは違う「霊魂の科学」に基づいて、妖精や人形における愛を描く物語が現れました。


【第4回】
ロマン派絵画、心理学思想からみたその展開
   −ドラクロア以前からゴッホ以後(20世紀初頭)まで−

 具象芸術である絵画は、音楽に比べて、ロマン派の思想を民衆に向けていち早く示しました。ただし、ドラクロアのように歴史的事件や民衆を描いた絵画はわかりやすいものの、例えば、フリードリヒのように、読み解く必要のある思想を表した絵画も多くあります。ロマン派に関連する様々な絵画を、同時代の思想から読み解くことを試みます。


【第5回】
ロマン派音楽、心理学思想からみたその展開
   −ショパン以前からマーラー以後(20世紀中葉)まで−

 抽象芸術である音楽では、ロマン派特有とされる新たな表現形式が現れるのは絵画よりも遅れます。しかし、例えば、19世紀初頭のベートーベンの『田園』の標題や『第九』の歌詞に、ロマン派の思想を読み取ることができます。逆に、ロマン派の表現形式において同じであっても、表現する思想がまったく違い、対立している作曲家たちもいました。


    

 
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