<公開講座の様子/平成30年 6月 9日>

『講座名』 「阪本龍門文庫(奈良県吉野)蔵
       芥川龍之介自筆原稿『玄鶴山房』をめぐって〜一字の違いから導かれるもの〜」
『講 師』 吉川 仁子(文学部言語文化学科日本アジア言語文化学コース 准教授)


『公開講座風景写真』


本年度第1回目の公開講座は文学部によるものでした。本学文学部の吉田孝夫教授により講座の趣旨及び講師の紹介がされた後、言語文化学科日本アジア言語文化学コースの吉川仁子准教授による講座が始まりました。本学で は、学術情報センターのホームページで「阪本龍門文庫善本電子画像集」を公開しています。その中から、芥川龍之介自筆原稿「玄鶴山房」を採り上げた講座でした。一字の違いとは、主人公の玄鶴が、活字では「画(畫)」家、原稿では「書」家であるということです。それをただの誤植とせず、原稿にある複数のページ番号や執筆中にやり取りされていた書簡なども参考に、その背景を読み解いていかれました。
なお、阪本龍門文庫の一部書籍は本学学術情報センターのホームページにて、電子画像集としてご覧いただくことができ、『玄鶴山房』も下記よりご覧いただくことができます。
学術情報センター 阪本龍門文庫 善本 電子画像集「玄鶴山房」


『受講者アンケートより』


・大変興味深い講演をきくことができ、芥川という作家の一面がまた新たにわかりました。また当時の様子(作家の苦悩や出版社とのやりとり、人間関係)が原稿用紙から見えてくるのは、大変楽しみのある一時でした。近代文学講読の発表(志賀直哉の菜の花と小娘)の際、文学作品をどうやって正確に読み、それを聞いてもらえる形にするか、自分の考えをどう客観的に、的確に論立てるのかを考える初めての経験を得ました。今回もう一度講演をきいて、発表の方法ということも学びました。
・物語の内容だけでなく、文字の異同にも目を向けることで作者の考えを推測することができるのは非常に興味深く感じました。
・直接の原稿を用いた研究の面白さを感じました。作品が頭から順にではなく、推敲したり間に章を加えたりというのは執筆において自然で、そこから作品の考察ができるのも面白かったです。

 
 作成・管理:奈良女子大学社会連携センター