奈良女子大学けいはんな公開シンポジウム

聖徳太子像の再構築

 聖徳太子は10人の声を同時に聞いたという逸話を聞いて、そんなことあり得ないといって聖徳太子などつくられた偶像に過ぎない、居たのは厩戸皇子だけだと考えるか、そこには何か隠された比喩があるのではないかと考えるかは、歴史家の感性の別れ道である。最近は前者のように考える感性の持ち主が増えているようだ。しかし私たちは後者のような感性があっても良いと考えている。21世紀の現代だからこそ語れる、新たな聖徳太子像を模索してみたい。そう思って、聖徳太子1400年忌をきっかけにこのシンポジウムを開催することとした。


    ・日  時  2021年 5月 8日(土)
           13:30〜16:30


    ・開催方法  YouTubeによるライブ配信

    ・配信会場  奈良女子大学けいはんなサテライトオフィス

    ・視聴方法  下記よりご覧いただくことができます。
  
     *配信がご覧いただけない場合はコチラをクリック下さい。
     *本シンポジウムはYouTube配信で行いますが、本学学生及び、
      一部研究者は、討論のためにオンラインで参加します。

    ・資  料 「日本仏教史における太子の位置」 斉藤恵美(奈良女子大学 特任助教)
          「日本仏教史におけるおける大使の位置」史料
         「再生する聖徳太子」 佐藤弘夫氏(東北大学 教授)
         「推古朝の合議」
           鈴木明子(奈良女子大学 古代学聖地学研究センター 協力研究員)
          「推古朝の合議」史料
         「当麻寺から丹後由良まで、孤独な散歩者の夢想」
           小路田泰直(奈良女子大学 副学長)


    【プログラム】 司会:小路田泰直

      13:30〜13:35 開会挨拶

      13:35〜14:10 「日本仏教史における太子の位置」
               斉藤恵美(奈良女子大学 特任助教)

      14:10〜14:45 「再生する聖徳太子―『日本書紀』から一万円札まで」
               佐藤弘夫氏(東北大学 教授)

      14:45〜14:50 休憩

      14:50〜15:25 「推古朝の合議」
               鈴木明子(奈良女子大学 古代学聖地学研究センター 協力研究員)

      15:25〜15:50 「当麻寺から丹後由良まで、孤独な散歩者の夢想」
               小路田泰直(奈良女子大学 副学長)

      15:50〜16:00 休憩

      16:00〜    討論

      16:30     閉会(予定)


    【報 告】

      斎藤恵美(奈良女子大学 特任助教)

        「日本仏教史における太子の位置」
       インドで誕生した仏教の究極的な目的は、悟って仏になることであった。
       しかし日本においては、本来的な意味での悟りを放棄するというスタイルが
       主流となり展開した。このようなありかたの深淵はどこにあるのか。6世紀
       半ばの公伝以降はじめて仏教興隆のもとに様々な政策を行なった聖徳太子の
       思想から考えてみたい。


      佐藤弘夫氏(東北大学 教授)

        「再生する聖徳太子―『日本書紀』から一万円札まで」
       聖徳太子はそのイメージを大きく変化させながら、今日に至るまで生命力を
       持ち続けてきた。なぜ生き延びることができたのか。なぜ聖徳太子なのか。
       その変身と延命のメカニズムを探るとともに、ポストモダンの現代において
       聖徳太子が果たしうる可能性について考えてみたい。


      鈴木明子(奈良女子大学 古代学聖地学研究センター 協力研究員)

        「推古朝の合議」
       従来、聖徳太子による推古朝の政治は日本律令国家の出発点とされてきた。
       近年では、推古朝と律令国家の連続性が否定され、律令国家形成の対外的契
       機が過剰に説かれる傾向にある。その結果、日本律令国家の論理は、氏族制
       的秩序の残存と中国的律令の浸透という律令国家二重構造論へ多く帰結し、
       独自の論理を問うことが回避されてきた。古代国家形成史の鍵となるのは推
       古朝と聖徳太子の新たな評価である。古代国家形成史の主要な論点である合
       議制の視点から、聖徳太子の果たした役割を考えたい。


      小路田泰直(奈良女子大学 副学長)

        「当麻寺から丹後由良まで、孤独な散歩者の夢想」
       当麻寺は、元は河内にあったが680年ごろ今の地に移されたという。葛城山麓
       を行場としていた役行者が、敷地を提供したそうだ。役行者が行者世界で頭一
       つ抜け出すためには、聖徳太子との特別な縁が必要だったのだろう。当麻寺の
       創建者当麻皇子(麻呂子親王)は聖徳太子の弟であり、大江山の鬼退治で知ら
       れる人物だ。そういえば羽黒修験を開いた蜂子皇子も、聖徳太子の庇護を受け
       て丹後由良から出羽由良に旅立った。修験道の起点には聖徳太子が居たのかも
       しれない・・・・。


    主 催 奈良女子大学

    <お問合せ>
     奈良女子大学社会連携センター
      ・TEL 0742-20-3734(土日祝日を除く10時から17時まで)
      ・FAX 0742-20-3958
      ・E-mail kouza@jimu.nara-wu.ac.jp
    

 
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