奈良女子大学理学部 数学科

数と形の不思議な旅(第4回)

毎年恒例の奈良女子大学数学教室の公開講座 「数と形の不思議な旅」もおかげさまで盛況のうちに第4回目を 迎える事が出来ました。

今年度は、いろいろなテーマを広く紹介するという 前回までのやり方に加え、一つのテーマについてじっくりと聞いて いただく時間も取るために、 一日目を一人の講演者による連続講義の形で行い、 二日目を従前のオムニバス形式で行う事にしました。 とはいえ、高校生以上の方を対象として数学に関係する簡単で身近な話題を 紹介するという趣旨に変わりはありません。 数学の研究者が何を面白いと感じ、どんなことを数学に関する身近な話題だと 考えているのか、はたまた、彼らは数学をどのように取り扱うのか等について、 暑い最中ではありますが冷房の効いた部屋で、直に話を聞いて何かを感じて いただければと考えております。

興味を持たれた方は、どうぞご遠慮無くおいでください。
講演者一同楽しみにお待ちいたしております。(2003/05/15)

平成15年度の数学科の公開講座は今年も募集定員を超える約80名の参加者を迎えて開催することができました。非常に暑い中お集まり頂きありがとうございました。
今年もいろいろな世代の方々と交流を持つことができ、嬉しく思います。アンケートのご協力もありがとうございました。来年度もよろしくお願いいたします。
(2003/08/05)

公開講座写真および講義録はこちら


●日程・場所など
◆日時 平成15年8月4日(月)、5日(火)
◆場所 奈良女子大学理学部 G棟2階 G201教室
◆参加資格 高校生・一般(男女問わず)
◆募集人員 50名
◆受講料 無料
◆交通アクセス こちらをご覧ください
●講演プログラム
8月4日
10:00--11:00 教授 上田 勝 気ままに数めぐり I(完全数と調和数)
11:30--12:30 教授 上田 勝 気ままに数めぐり II(カーマイケル数)
14:00--15:00 教授 上田 勝 気ままに数めぐり III(平方三角数)
15:30--16:30 教授 上田 勝 気ままに数めぐり IV(合同数)
17:00--18:00   お茶の会
8月5日
10:00--12:30 教授 宮武 貞夫 ケプラーの法則とハミルトン力学
14:00--16:30 助教授 高橋 世知子 複素数

それぞれの講演のより詳しい内容は、後ろにまとめてありますのでご覧ください。 初日の講演終了後に講演者達と当教室の他の教師等を交えてのささやかなお茶の会を設ける予定です。


正式のプログラム(pdf形式)

●応募方法
期間 平成15年6月23日から7月25日までに必着の事
方法 郵送の場合は葉書に
住所、 氏名、 学校名と学年高校生のみ)、
連絡先電話番号またはe-mailアドレス
及び「理学部数学科公開講座受講希望」と明記の上、下記の申込先にお送りください。
  電話またはファックス、e-mailによる申込をする場合は、下記の申込先へ、「理学部数学科公開講座受講希望」の旨を伝えるとともに、
住所、 氏名、 学校名と学年高校生のみ)、
連絡先電話番号またはe-mailアドレス
をご連絡下さい。 ただし、電話による受け付けは、平日の10:00--17:00の間のみとさせていただきます。
なお、8月4日のお茶の会に出席を希望される方は準備の都合上「お茶の会出席希望」と明記してください。
申込先 〒630-8506 奈良市 北魚屋西町 奈良女子大学 理学部数学教室
数学教室 TEL:(0742)20-3369   FAX:(0742)20-3367
e-mail:math-dep@cc.nara-wu.ac.jp
理学部事務 TEL:(0742)20-3428
  電話による申し込みは数学教室・理学部事務どちらでも構いません。
 FAX送信用申し込み用紙(PDFファイル) こちらを送信用にお使い頂けます。
  
●講演内容

上田 勝 気ままに数めぐり

タイトルにあるように、整数論の歴史の中に現れてきた さまざまの数についての「気ままな旅」を楽しんでみようと考えています。

整数論の歴史には、研究上の重要性といった四角四面の理由からではなく、 見た目の面白さや単なる好奇心から考え出されたちょっと奇妙なそして 面白げな数がたくさん出てきます。 講演者もそれらの数にまつわる話を小・中学生の頃に読み、 どんな数なのだろうと夢と好奇心をふくらませた思い出があります。 今回紹介する完全数調和数カーマイケル数平方三角数合同数は全てそのようなちょっと奇妙なそして面白げなものです。

前回私が講演したときに宿題を出しておいたのですが、見事に解かれてしまいました。 くやしいので今回は難しい(はずの)宿題を出します。解答は無理でも予想を立てていただける と楽しめると思います。

1回目に出てくる完全数とは 6=1+2+3 や 28=1+2+4+7+14 の様に、 正の約数を全て加えると自分自身に戻る数の事です。 偶数の完全数についてのオイラーの結果は有名ですが、では 完全数はどの程度存在するのでしょうか全ての自然数の中での密度を ご存じですか?

2回目で扱うカーマイケル数は、「p を素数、a を整数とすると、 a^p-a は必ず p の倍数である」というフェルマーの小定理に関連して 出てくるものです。(a^p は aのp乗 です) では、このフェルマーの小定理の逆は成り立つでしょうか。 つまり、全ての整数 a に対して a^p-a が p の倍数になるとき、 p は素数といえるのでしょうか?

3回目の平方三角数とは平方数であり、かつ三角数である数です。 ここで三角数とは、点を正三角形の形に並べていったときに出来る数列で、 1, 3, 6, ..., n(n+1)/2, ... と続いていきます。 36=8(8+1)/2 = 6^2 なので、これは平方三角数ですが、では、 この様な数は他にあるのでしょうか

最後の合同数とは、有理数の長さの三辺を持つ直角三角形の面積となる整数の事です。 3辺の長さが、3, 4, 5 の直角三角形があるので、6=(3×4)/2 は 合同数となります。では、これが最小の合同数でしょうか

講演日に皆様にお会いできる事を楽しみにしております。

宮武 貞夫 ケプラーの法則とハミルトン力学

運動の最も簡単なものは物体 (厳密には質点)の自由落下の ありさまである。これを出発点として、 外力が加速度に等しいということについての考察をし、 ラグランジュの運動方程式を説明する。次に、座標変換でラグランジュ の方程式が変わらないことを理解することが大事なこととなる。 最後に、ラグランジュの方程式がハミルトンの方程式という同等の式 に書き換えられる仕組みをみたい。 例として、太陽の周りを地球が動いているような二体問題について、極座標での ハミルトンの方程式は比較的簡単に解けて、ケプラーの三法則が導かれる ことを説明したい。これは近代解析学の主要テーマであったとともに、 現在に至るも、直裁に完全な理解を得ることがなかなか難しい問題である。 しかし大事な問題であるので、比較的容易な説明を試みることに挑戦したい。

高橋 世知子 複素数

数は、歴史的には自然数に始まり、整数、有理数、実数へと発展しました。 そして私達は普段これ等の数を自然に用い又使いこなしています。 2次方程式の解を考えるとき、実数の範囲では必ずしも解を持つとはいえません。 負の数の平方根を考え、これを虚数と名づけて実数に付け加え、数として構成 されたのが複素数です。この複素数にまで範囲を広げると2次方程式は例外なく 解を持ちます。一般にもっと高次の方程式も必ず解を持つことが知られています。 又、実数は数直線上の点として表せますが、複素数は平面上の点として表 示できます。複素数は代数学的側面や幾何学的側面を持ち、数学のみではなく、 物理学をはじめとして応用面においても重要な役割を果たしています。
複素数とは何か、その概念、性質をはじめ、方程式の解やその平面幾何への応用等 についてお話しします。 


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