奈良女子大学理学部 数学科

数学へようこそ

平成17年度(第6回)奈良女子大学理学部数学教室公開講座

●奈良女子大学理学部数学教室公開講座「数学へようこそ」開催のお知らせ

毎年恒例の奈良女子大学数学教室公開講座を今年も開催します。
数学の研究者が何を面白いと感じ、どんなことを数学に関する話題だと考えているのか、 はたまた、彼らは数学をどのように取り扱うのか等について、私たちの話から何かを感じていただければと考えております。
興味を持たれた方は、どうぞご遠慮無くおいでください。講演者一同楽しみにお待ちいたしております。(2005/05/13)

本年度の公開講座は終了しました。暑い中、約70名の方々にお越しいただきました。アンケート回答のご協力にも感謝いたします。来年以降もよりよい公開講座を企画いたしますので、またのお越しをお待ちしております。(2005/08/20)

受講対象:教員・一般(男女問わず) 
日時:平成17年8月18日(木)、8月19日(金) 両日とも10時〜16時
募集人員:100名
受講費:無料
場所:奈良女子大学(近鉄奈良駅北へ徒歩5分、交通案内G棟1階 G101教室
申し込み:事前申し込みは不要です。当日直接会場へお越しください。 
注意事項:・会場は十分広い教室ですが、万一満員となった場合は入場を制限させていただくことがございます。また、中学生以下の入場はお断りさせていただきます。
・原則として一般車両は大学構内に入構できません。公共の交通機関をご利用ください。
・講座当日の午前9時に奈良県北部または奈良県北西部に気象警報が発令されている場合、当該日の講座は中止いたします。
・2日間参加される方で受講証書を希望される方は、1日目午前中に受付でお申し出ください。
問い合せ先: 〒630-8506 奈良市北魚屋西町 奈良女子大学理学部数学教室 FAX: (0742)20-3367, e-mail: math-dep@cc.nara-wu.ac.jp

プログラム (各講演時間には休憩・質問の時間を含みます)
8月18日(木)
10:00〜12:30宮武 貞夫 常微分方程式系の理論と応用
自由落下の現象は、万有引力とニュートンの運動法則により、記述される。
これは、もっとも基本的な微分方程式の問題である。しかし、幸か不幸か、初等的に解を求めることはできない。 高校では、引力の代りに、地表での重力定数を決めて簡単な問題として扱っている。 しかし、最も基本的な問題はどこかで、誠実に対応すべきである。 そのためには、常微分方程式系の理論が必要となる。これを、実数の理論に基づいて構成したい。 考え方の中心は、不動点を逐次近似法で求めるというものであるが、その動的な仕組みを解説したい。
応用として、偏微分方程式の解法等に触れたい。
13:30〜16:00武田 好史 逆理と背理法―数学における形式主義の立場とその問題点
よく知られた逆理「私はうそつきだ」は、なぞなぞ等でも用いられることもあるポ ピュラーな逆理ですが、これと同種の逆理(自己矛盾の逆理)は、かつて哲学の主要 テーマであったり、あるいは数学思想を根本から書き替えるきっかけとなったりもし ました。
まず前半では、いくつかの著名な自己矛盾の逆理についての論点と効果について、 できるだけ統一的でわかりやすい説明を試みます。そして、これらの自己矛盾の逆理 に対して、現代数学において主流となっている“形式主義”がとる立場とその問題点 について考えてみたいと思います。
次に後半では、やはり“形式主義”の特徴のひとつである背理法の取り扱い方につ いて、たとえ話を用いながらその問題点を明確にしていきたいと思います。
なお、この講演を受講していただくにあたり、高度な数学概念や数式に関する知識 は全く必要ありません。“深く考える”ことに対する興味があれば十分です。
8月19日(金)
10:00〜12:30高橋 世知子 集合の話
集合とは範囲の確定したものの集まりであり、例えば、1,2,3 という3つの数をまとめると、 この3つの数から成る集合{1,2,3}ができる。自然数の全体{1,2,3,‥‥}も1つの集合である。 ここで{1,2,3}は有限集合、{1,2,3,‥‥}は無限集合であり、{1,2,3,‥‥}は{1,2,3}より大きい集合であるとみなされる。 無限集合{1,2,3,‥‥}の大きさはどのくらいであろうか?2つの集合が同じ大きさを持つとはどのようなことであろうか?
"無限を数える"ことに関して、19世紀の後半にゲオルグ・カントルは集合の大きさを測る数として、 濃度(カージナル数)の概念を導入した。以来、それまで漠然としていた無限の概念がはっきりと明確に捉えられるようになった。
この講演では、有理数の全体、実数の全体、平面上の点集合等の具体的な例を通して、集合に関するいくつかの話題についてお話します。
13:30〜16:00篠田 正人 ランダム媒質の確率論
近年、ランダムな環境の中でのランダムウォークの研究が盛んになりつつあります。 これは、粒子の周りにランダムに障害物や他の粒子などがあり、その影響によって粒子の大域的な挙動がどのように変わるかという研究です。
この講演では、ランダム媒質の確率論の簡単な例としてパーコレーションモデル(浸透過程)についてお話します。 不均質なちり紙にインクを吸い上げさせるとき、どのような境界面が現れるでしょうか? 水が氷になる瞬間にはどのようなことが起こるでしょうか?こうした現象を確率モデルの観点から扱ってみたいと思います。


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