奈良女子大学低次元トポロジーセミナー

(このセミナーは奈良女子大学の行っている事業「生涯にわたる女性研究者共助システムの構築」 (文部科学省事業「女性研究者支援モデル育成事業」)の補助を受けて実施されるものです。)

日時: 平成20年3月21日(金) 午前11時〜午後5時

場所: 奈良女子大学理学部新B棟4階 数学第3セミナー室(奈良市北魚屋西町)、
    (アクセスマップ)

 

プログラム

・11:00〜11:50 近藤悠佳子 (奈良女子大学大学院数学専攻修士2年)

    「3次元球面内の pre-fiber surfaceのdeplumbingについて」

Abstract:
  Sharlemann-Thompsonは結び目解消数が1の結び目Kに対してはその最小種数ザイフェルト膜Sで, ある曲面とHopf bandのplumbingになっており, さらに結び目解消操作はこのHopf bandのひねりをほどく ことに対応するようなものが存在することを示した.
  特にKがファイバー結び目ならば, その最小種数ザイフェルト膜は必ずファイバー曲面になるので, 上のSはファイバー曲面になる. このSから上のようにひねりをほどいて得られる曲面S'は自明な結び目 のザイフェルト膜になっているが, このようなザイフェルト膜の特徴付けが小林毅氏によって与えられ ており, そのような曲面はpre-fiber surfaceと呼ばれている. 本講演ではpre-fiber surfaceを4辺形の 村杉和で分解する(deplumbing)と, 片方が必ずpre-fiber surfaceになるという結果を報告する.

 

・12:40〜13:30 新庄玲子 (大阪市立大学数学研究所)

  「Spatial graph diagrams realizing prescribed subdiagrams partitions」

Abstract:
  Suppose $D_1, D_2, \ldots, D_n$ are diagrams of spatial graphs. If a spatial graph $G$ is partitioned into edge disjoint spatial graphs $H_1, H_2, \ldots, H_n$ admitting the diagrams $D_1, D_2, \ldots, D_n$, respectively, then there is a diagram of $G$ whose restrictions to $H_1, H_2, \ldots, H_n$ are equivalent to $D_1, D_2, \ldots, D_n$, respectively. This is a natural extension of the result concerning link diagrams given by J. H. Lee and G. T. Jin.

 

・3:40〜14:30 張 娟姫 (大阪大学大学院理学研究科数学専攻)

「Genus-two Heegaard splittings of non-simple 3-manifolds and 3-bridge presentations of 3-bridge links」

Abstract:
  It is well known that a closed orientable 3-manifold can be splitted into two handlebodies. Such a splitting is called a Heegaard splitting.We say that two Heegaard splittings of a given 3-manifold are homeomorphic (resp. isotopic) if there exists an auto-homeomorphism (resp. an isotopy) of the manifold taking one Heegaard splitting to the other.
  In this talk, we introduce a method to distinguish Heegaard splittings of 3-manifolds up to isotopy or up to homeomorphism. This gives an answer to a question by Morimoto and a new counter-example to a conjecture by Waldhausen.
  We also introduce the relation between genus-two Heegaard splittings of 3-manifolds and 3-bridge presentations of 3-bridge links. Together with the argument about the classification of Heegaard splittings, we obtain 3-bridge links each of which admits infinitely many 3-bridge presentations.

 

・14:40〜17:00 森元 勘治 (甲南大学理工学部)

「Essential surfaces in the exteriors of torus knots with twists」

Abstract:
   (p,q)-トーラス結び目から、r 本(1<r<p)の平行な部分を何度かひねってできる結び目の 補空間に、本質的な閉曲面が入るかどうかということを考察いたします。このような結び目は、 デーン手術やトンネル数の加法性問題において、重要な役割をする結び目であり、具体的に調べる ことにより、様々なことが見えてくると思います。最近では、そのような結び目の補空間の ヒーガード分解を調べる研究なども進んでいます。結果としては、r が 2 の場合は、本質的な 閉曲面は入らないということと、r が素数でない場合は、p と q を上手に選ぶことにより、本質的 なトーラスが入るということが証明されました。後半の部分は電気通信大学の山田裕一さんとの 共同研究です。発展としては、r が 2 より大きい素数の場合についての考察が重要になると思います。