ここでは来年度の学部4回生セミナーを選択するにあたって参考になる 情報を掲載しています．
1.私の研究内容について
私の研究している分野は主に低次元の位相幾何学，特に三次元多様体論と呼ばれているものです．ここで n 次元多様体と言うのはその各点が n 次元ユークリッド空間と同相な近傍を持つような空間のことで，例えばいわゆる「曲面」と言うのは，二次元多様体の例になっています．さてコンパクトな2次元多様体の同相類の分類は既に完成しているのですが，3次元多様体の分類は現在もまだ未完成で，このこと以外にも，そこににはまだまだ未知の領域が多く残されています．私自身は，この3次元多様体及びそれに関連した数学（結び目理論，力学系理論，葉層構造論など）に興味を持って研究しています．
私のセミナーでやる内容はやはり（一見そのように見えないかもしれませんが）以上に述べたような内容に関係した事柄です．
2.セミナーの考え方について
私のセミナーでは前期は新しい数学に慣れてもらうために，あまり厳密な数学の本ではなくやや入門的な本や，関連した分野の総まとめをしたような文献を（ときには英語などで）読んでもらいます（来年度は取りあえず次の文献：
1990年世界数学者会議報告集から：
The Work of Vaughan F.R. Jones by Joan S. Birman
を読んでもらうつもりです）．後期には各自の希望などを尊重して小グループに分けていくつかの文献を読んでもらいます．特に大学院進学希望者には大学院での専門に関係する文献を読んでもらいたいと考えています．