「蘇州大学訪問記」(5/16〜5/18)
 
                                            奈良女子大学  学長  野口 誠之
                                                          2010年5月21日

 この度、中華人民共和国蘇州大学創立110周年記念式典に招待されたことを受けて、小山国際交流センター長、谷口准教授(中国文学研究者で中国語が堪能)と共に、5月16日から18日の間、蘇州大学を訪問して来ました。蘇州大学は、1998年、本学との国際交流協定を結んでおり、蘇州大学からの留学生の受入や、本学から蘇州大学への教員派遣などに交流実績がある大学です。昨年度の本学創立100周年記念式典には田副学長を筆頭に国際交流関係者に参加して頂きましたので、今回は、その答礼を兼ねて、現地視察を行ってきました。
   
  虎宮散策  

蘇州大学へは、まず、関西空港から、上海浦東空港まで空路約2時間、そこから、高速道路を使い自動車で約2時間の旅程です。関空では上海万博を目当ての人達で大変混雑しているように思いましたが、上海浦東空港ではそれほどの混雑や熱気は感じられませんでした。空港には蘇州大学からの案内役兼通訳の王暁莉さん(女性)と運転手(男性)が出迎えてくれました。このお二人には、最終日まで大変お世話になり、安心して滞在することができました。空港から、大学までの高速道路はほぼ4車線と幅広く、リニアモーターカーが道路近くを一瞬のうちに通り過ぎるなど、中国の発展の現状を垣間見ました。途中万博会場近くを通過し、車中から会場の建物を遠望しました。
   
  上海空港 万博会場遠望  

 蘇州大学は、1900年に設立された東呉大学に端を発し、その後、いくつかの大学等を合併、改名を繰り返しながら、1982年に現在の蘇州大学になり、爾来、地方の総合大学として着々と力をつけてきた大学です。蘇州は、水と緑に囲まれた、風光明媚な地域で、大学の敷地内にも豊かな水量の運河が流れていました。ちょうど午後の授業が始まる時間帯に大学内を見学しましたが、多くの学生達が宿舎から続々と現れ、教室に向かう様子はまさに壮観で、中国が内包するパワーの源泉を見た思いがしました。
蘇州大学では、110周年記念式典のため、国際協力関係の教員もその準備に忙殺されていて、ゆっくり話し合う時間はありませんでしたが、幸い、日本通で、日本語に堪能な陸教授と夕食を取りながら、種々の話をすることができました。また、110周年を記念して、古い体育館を改修した「大学博物館」がちょうど開館したところで、陸教授の案内で、展示物を見学することができました。春秋戦国時代の歴史的遺物が沢山展示されていて、「さすがは本場」と感心しました。

蘇州大学構内の運河 陸教授、王さんらと夕食会 大学博物館

 5月17日夕方、朱秀林学長、張學光副学長、熊思東副学長、黄興国際合作交流処長との会見を行い、今回の110周年のお祝いを述べると共に、本学からの記念品を贈呈し、今後の両大学の国際交流関係のいっそうの充実を確認しあいました。
その後、朱学長主催の晩餐会が太湖の畔の高級ホテルで開催されました。80人位の国内外の来賓客が一堂に会した盛大な晩餐会でした。私の右隣席は、Dr. Martin Collick関西学院大学副学長、左隣席は洪徳律韓国大邸大學校総長でした。ちなみに、蘇州大学の基礎を築いたのは、関西学院大学を創設したアメリカ人宣教師の一族であるとのことです。
   
  朱学長との会見  

翌18日に110周年記念式典が行われました。大学内の屋外広場に会場が作られ、沢山の学生ボランティア(志願者という名札をつけていたのが印象的)が、会場周辺で協力していました。大学の総力を結集して110周年を祝うのだという熱気が感じられました。会場正面の壇上には来賓客200名位が着席し、一般会場には約2000名(公称)が集まり、予定通り10時から、花火の合図と共に式典が始まりました。それぞれの主賓者の挨拶の前には、某オリンピックやSF映画のテーマソングを鳴らし、華々しく式典を盛り立てていました。厳かに静粛に行われる日本の式典と比較し、お国柄を実感しました。今にも雨が降りそうな曇天の中(最後にぱらぱらと小雨が降りましたが)、式典は予定通り終了しました。中国では、このように式典が時間通りに進行するのは珍しいとのことでした。
式典終了後は、祝賀会が予定されていましたが、我々は、ホテル近くの食堂で昼食を取り、直ちに帰路に就きました。帰宅したのは深夜でした。
蘇州大学のスローガン 記念式典開始前の来賓席 記念式典会場

 今回の蘇州大学訪問は短期間でしたが、「百聞は一見にしかず」の諺通り、大学の規模や雰囲気、学生の様子などを直に体感することができ、大変有意義であったと思っています。

 最後に、今回の滞在期間中、蘇州大学から頂いた手厚いご配慮に対し、心より感謝申し上げます。



 

 
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