平成25年度入学宣誓式 学長式辞(学部入学宣誓式)

 

 新入生の皆さま、編入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。奈良女子大学の教職員一同は、本日ご臨席の、元学長、名誉教授、同窓会である佐保会理事長、奈良佐保短期大学長、放送大学奈良学習センター所長の先生方と共に、皆さまのご入学を心より歓迎いたします。本日ご同伴されましたご家族の方々、また各地で本日のご入学をお喜びのご親族の方々に、お祝いを申し上げます。
 大学入試は競争試験ですので、皆さんはその勝者として本日ここにお集まりになっています。先ほど紹介があった本講堂の緞帳は、皆さんの先輩の同窓会である佐保会からの寄付で作られました。そして皆さんの大先輩である、小倉遊亀画伯が、構図を描かれたものです。ご本人のお言葉ですが、「これは大学の5階から見た若草山の山並をバックに、大きな古い桜の樹が、今や満開に咲きほこった光景を描きました。画面いっぱいに咲きほこる桜の花には一点の不純さもなく香気ふくいくと両手をひろげて、己の力のすべてを出しています。若い皆様の思い思いの方向に進んでゆかれようとするお姿ではないかと思います。皆様の前途を祝福して「爛漫」という題にさせて頂きました。」という後輩を思う人生訓が愛情あふれる力強いタッチに表れています。

 皆さんには無限の可能性があります。自分の人生を自分で作り上げることが可能です。皆さんが今まで学んできたのは「学校」ですがこれからは「大学」になります。学ぶ場所から大いに学ぶという態度に移行します。大学では、学び方を習得します。その能力は一生皆さんの生活や幸せの基盤となります。
 
本学には文学部、理学部、そして生活環境学部があります。さらに大学院の修士コースと博士コースがあります。専門家を目指す場合修士課程までが必要になります。入学したばかりですが、人生の大きな選択ですのでぜひ考えてください。さて、文学部の方法は世の中を「言葉で切り取る」ことです。理学部の方法は世の中を「数式あるいは実験で切り取る」ことです。生活環境学部の方法は世の中を「生活の利便性で切り取る」ことです。多くの人類が今となっては狭い地球で幸せに生きていくために、これらの3学部の方法が必要です。その分野独自の方法をマスターした人間が大学で成長し、リーダーとして自分は無論、他人にも影響を与え幸福を勝ち取ることができます。この知恵こそ、大学で学ぶことです。
 すでにホームページでご存じの方も多いと思いますが、本学は平成26年度から大きな改組を行う予定です。まだ変化の余地はありますが学部を超えた改組を予定しています。本学は今後の本格的な少子化に対応するために改組しますが、皆さんの希望する教育課程は保証されています。安心して勉学に専念してください。むしろ、この改組をこれからの変化の激しい時代を生き抜くためのサンプルだとプラスに考えて変化を楽しむ余裕を持って欲しいと希望します。
 さて、すこしアドバイスをさせてください。大学では、高校までと違って、友人との比較が困難なため、自分の成長が見えにくくなります。そこで工夫ですが、この機会に何か映画を見てください。そして感想と批評を記録に残して下さい。就職活動あるいは大学院入試の前に、もう一度同じ映画を見て、感想と批評を書き、読み比べてください。ご自身の成長や「自立に向かう準備段階」を納得することでしょう。私のお勧めは、山岳映画ですが若い女性の成長をテーマにした小栗旬の「岳(がく)」です。
 本大学は奈良にあります。自然にあふれていますが、古都ですので多くの文化遺産があります。千年以上前でも、人々は幸せを願い多くの仏像を造りました。皆さんは「深く着実に考える」ことで幸せを紡ぐことのできるリーダーの卵です。仏像との対話を心がけてください。物事を深く考えることで国際人としての素養が培われます。
 最後になりますが、私たち教職員は皆さんの成長と活躍が大きな喜びです。この奈良の地で学んだことを、全国に持ち帰って育ててください。皆さんの前にある実り多い学生生活を祈念してお祝いの言葉といたします。

                                                 平成25年4月4日 奈良女子大学長 今岡春樹



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