平泉文化遺産センター(岩手県・平泉町)で、本学が再現した甘葛煎(あまづらせん)の展示と再現実験の様子が紹介されています(7月22日〜11月26日開催)

 平泉文化遺産センター(岩手県・平泉町)特別展「天長地久 平和への懸橋−奥州藤原氏と平泉の年中恒例法会」で、平成27年度に本学で再現した古代の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」が展示されています。
 この特別展では、約800年前に栄えた都市平泉の年中行事「祇園会」の様子と、当時の衣食住を五感で体感できます。 甘葛煎は、食のコーナーで『枕草子』のかき氷をイメージした展示に登場し、併せて本学甘葛煎再現プロジェクトによるこれまでの再現実験の様子も紹介されています。

場 所:平泉文化遺産センター(岩手県西磐井郡平泉町平泉字花立44番地)
日 時:平成29年7月22日(土)〜11月26日(日)9:00〜16:30

−甘葛煎とは…?−
  甘葛煎とは冬季のツタの樹液を煮詰めてシロップにしたもので、古代に甘味料として使われていました。『枕草子』第四十二段に「あてなるもの(上品なもの)」として、「削り氷にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)入れたる(かき氷にあまづらを入れて、新しい金属製の鋺に入れたもの)」とあり、当時の皇族はかき氷に甘葛煎のシロップをかけて食べていたことがわかります。また、芥川龍之介の『芋粥』で有名な芋粥は、煮詰める前のツタの樹液(みせん)とスライスした山芋を煮たもので、高級なデザートでした。 食する以外にも、お香を練る蜜の代わりとしても使われました。

−奈良女子大学甘葛煎再現プロジェクトの活動−
  奈良女子大学は、平成20年度から組織的な大学院教育改革推進プログラム「女性の高度な職業能力を開発する実践的教育」を実施してきました。平成22年度に、プログラムに関連する授業で奈良を中心とした菓子文化を取り上げ、砂糖が一般的になる以前の甘味はいかなる味であったかを追究し、大学院生の自主的な企画として古代の甘味料である甘葛煎を再現することにしました。その成果は本学のホームページ「幻の甘味料あまづら(甘葛)の再現実験」で公開しています。
 上の再現から5年後、大学構内のツタも太くなってきたため、平成27年度文学部長裁量経費プロジェクト(代表 人文社会学科教授 山辺規子)「古都の菓子、甘味、甘葛煎の復元」の一環として、再度の実験を2016年1月14日に行い、甘葛煎を再現しました。

【参考】2016年1月の再現実験の様子
 2017年2月21・28日には、奈良市立鶴舞小学校5年生の総合的な学習「郷土なら」の一環として、大学構内のツタを小学校へ運び、プロジェクトメンバーの指導のもと、41名の児童と教職員や地域の皆さんで甘葛煎を再現しました。

【参考】2017年2月の再現実験の様子

【参考】平泉町 Facebook

 

かき氷
御霊会行列
甘葛煎再現プロジェクトの展示