保護者の皆様へ

 新型コロナウイルス感染症につきまして、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復と事態終息をお祈りいたします。
 保護者の皆様には、日頃より本学の教育研究に対しまして、ご理解とご協力をいただきありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で全国に緊急事態宣言が発出され、人と人の接触を低減させる国家的なアクションが取られています。本学では4月13日から5月1日までを対面授業を行わない補講期間と定めました。遠隔授業の準備と一部実施を狙ったものです。そして連休明けの5月7日から授業を開始する予定でいました。
 しかし、状況から判断して5月7日以降も対面授業はできないと考えました。そして5月末まで遠隔授業のみを行うこととしました。リアルタイムのオンライン授業やリアルタイムではないオンデマンド授業を用意しています。6月に入ってからは実験などを優先して徐々に対面授業を開始していく考えです。これが大きな骨組みです。
 ここで考えなくてはいけないのが、学生諸君の自宅でのインターネット環境です。十分な学生もいれば全く不十分な学生も少なからずいます。新型コロナウィルス感染症問題が解決した後の社会では遠隔授業や遠隔会議が通常のことになると予想しています。ビジネスもチーム内でのコミュニケーションは遠隔会議などが急速に通常化しています。そのことから学生自身のパソコンの整備とインターネット環境の整備を不可欠のものと考えることにしました。無論これは原則で、当面間に合わないとか経済的に厳しいとかの状況があると考えています。そのために、大学は出来る範囲でのWifiルーターやタブレットの貸し出しを考えています。
 次に学生諸君の生活面が心配です。月々の生活で、食費が約25,000円、教養娯楽費・日常費が約20,000円で、それを賄うアルバイト代が約35,000円ということが各種調査から分かっています。アルバイトの機会が急速になくなっていますので、生活が困窮することが目に見えています。本学では「緊急学生生活支援特定基金」を作りました。教職員などからの寄附により、学生の食と職を確保しようとしています。本学には健康相談、心理相談、就職相談、修学相談ができるようになっています。困ったときはどんなことでも是非相談してください。全力で解決方法を見つけます。
 保護者の皆様は、学生としてのお子様をご心配なさっていると思います。想像しますと「ご飯食べてるか?」と「勉強してるか?」が大きな心配事と思います。理想は両立ですが、社会情勢からどちらに重心を置くかを日々判断しているところです。制限された環境の中でも最大限の努力をいたす所存ですので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

令和2年5月1日
 奈良女子大学長 今岡 春樹