つね御ともにつかうまつれりそれが返し
(古今)                (待也)
 ひとゝせにたびきます君まてば
 やどかすひとをもあらじとぞおもふ
    (玄水無瀬の宮也)
かへりて宮にいらせ給ひぬ。夜ふくる
までさけのみ物がたりしてあるじ
のみこゑひていり給ひなむとす。
      (玄三月十一日也)
十一日の月もかくれなむとすれは、かの
むまのかみのよめる
(古今)
 あかなくにまだきも月のかくるゝか
 山のはにげていれずもあらなむ
みこにかはりたてまつりてきの有つね
(五撰)
 をしなへて峰もたひらになりなゝむ
*  玄惟高は御しもの御歌
   口にてましませば、つまり
   給ふ事はあるまじき也
   業平の歌深く感じ
   給ひて御返しなき歟
   但又時によるべき事也
   桜花ちらばちらなむちら
   ずとて古郷人のきても
   見なくに白雲の絶
   ずたな引く峯にだに
   すめば住ぬる世にこ
   そ有けれなどある
   名歌のおほし
  きのありつね御ともに
   玄みこのおめし煩ひ給ふ
   を見て奥をさまさじ
   とて有常か返歌
   をよみたるなるべし
  ひとゝせにはとたび
   祇一とせに一たびきます
   君とはひこぼし也それか *
(上野峯雄)
 山のはなくは月もいらじを
八十三
      (玄都よりの事也)
むかしみなせにかよひ給ひしこれたかの
みこれいのかりしにおはします。ともに
うまのかみなるおきなつかうまつれり。
(肖京の宮にかへり給ふ也清同)
日ごろへて宮にかへりたまふけり。
御をくりしてとくいなむと思ふに
おほみき給ひろくたまはむとて
*  待間宿かす人もあ
      らじといへる也師愚見
   抄一説に惟高のみこのたまさかにきますをいへり云々。上には七夕の事にてよみ
   て、下にはこれたかの御事をあいさつ申せる心なるべし。花可愛歟
  あかなくにまだきも玄かくるゝかは哉也。是は親王の今ちとおはしませかしと
   や。山の端にげては俳諧なれども此時に望ては面白し。いまなどよみては
   よろしからず肖只月をおしむとたに山のはにげてなどいはゞ態めかしくて
   よろしけるまじきにや。こゝにては時の興に乗ずるさま尤珍しかるべし
  をしなへてみねもたいら玄後撰には上野峯雄とあり。作物がたりの儀なり。
   山の端にげてをあへしひてよめり。心は明也峯もたかうは山もなく平
   地なれかしと読る也口訳
  れいのかつしにおはします
  ともに玄いつも狩し給ふ
   に業平を付に召るゝ也



    御をくりしてとくゐなむ
   みこををくりとゞけま
   いらせて業平も帰
   たく思給ふ也 *